(5)専門家の意見
「もしも資金に余裕があるならば、M&Aに手を出してもいいだろう。これは必要条件であり、最も重要な条件でもある」。南京大学商学院の宋頌興・教授はこう語る。現在海外に買収の手を伸ばしているのは大型の国有企業ばかりだ。過去に大きな収益を上げたこれらの企業は、金融危機による買収コストの低下などにより、資金面での問題をすでにクリアしている。問題は、金融危機がどのくらい続くのかわからないことだ。
「金融危機はまもなく底を打つ可能性もあるが、今後も持続する可能性もある」と宋教授は指摘する。このような不確定性は企業に損失を与えるリスクになる。だが金融危機の持続によって、より少ない資金で一定の資源を手に入れるチャンスを中国企業は迎える可能性もある。
金融危機の不確定性のほか、低価格という魅力も企業の買収意欲を刺激している。だが企業は、短期的な利益だけに目をつけてはならず、企業の長期的戦略に買収が一致しているかどうかを忘れてはならない。宋教授は、「M&Aは短期的な利益をもたらすかもしれない。だが長期的な利益については、時間をかけて確かめていかなければいけない」と呼びかけている。
さらに、買収した企業を編成する能力があるかということも、中国企業の直面する問題のひとつだ。宋教授は、「企業自らに対する正確な評価が必要だ。買収がもたらすプレッシャーに対応するだけのハードウェアがあるかどうかを確かめておかなければならない」と指摘している。
「人民網日本語版」2008年11月6日
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