シン内閣の努力は、金融危機の試練に対処できるとの国民の自信を高め、市場の安定と、危機の一層の悪化の回避に積極的な役割を果たした。10月、消費財価格は安定へと向かい、都市部の消費はすでに回復の傾向を見せた。金融への大量の資本注入により、フロー不足が緩和され、企業の投資意欲がある程度刺激され、雇用が急速に創出された。内需の牽引が、経済の安定成長を保証した。
しかしながら、インドは結局、多くの人口を抱える新興経済国であり、経済運営においても脆弱で、つまづきやすい一面がある。シン首相が先日のG20金融サミットで述べたように、インドのような新興市場国は、今回の金融危機の「製造者」ではないにも関わらず、様々な原因から最も深刻な打撃と、最も痛ましい損失を受けている。経済成長が減速、または経済情勢が悪化すれば、無数の人々が再び貧困状態に戻り、保健・教育水準が徐々に滑り落ちていくことは明らかだ。こうしたマイナスは直ちに生じるとは限らないが、1世代または数世代にわたって影響を及ぼし得る。
インドはまさに金融危機の痛みを深く受けたからこそ、金融の嵐への反撃と国際金融システムの改革の推進を結び付けなければならないということを、より明確に認識したのである。現在インド政府は国際金融システムの改革を積極的に推し進めると同時に、この過程においてさらに重要な役割を担おうと努めている。シン首相は先日、現在の金融危機に対処するには、短期的には、国際社会が協力を強化し、発展途上国への影響を緩和すること、長期的には、国際金融システムを改革し、危機の再発を抜本的に防止することが必要との考えを表明した。インドの金融危機への積極的な対応、金融システム改革推進への努力が、世界の経済発展における新興国の役割の強化に資することは間違いない。
「人民網日本語版」2008年11月24日
|