中国への期待値高まる
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2007年11月20日、シンガポールで開催された「ASEAN+3」の10周年記念式典で、ケーキにナイフを入れるシンガポールのリー・シェンロン首相(左から7人目)と中国の温家宝総理(左から5人目)、日本の福田首相(左から6人目)ら各国の指導者たち(新華社)
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この点でも、中国の役割は大きいと言えます。まず、中国と周辺諸国・地域との経済関係の発展が指摘できます。例えば、中国とASEANの域内貿易比率は21.5%で、日本とASEANの26.2%に拮抗しつつあるほか、アジア諸国との貿易(とくに輸入)を拡大している点です。2007年のASEAN・中国間の貿易総額は、2003年の3倍の1711億ドルに達しています。
次が、中国の地政学的位置です。南では、例えば、広西チワン自治区の中心都市である南寧で、毎年「中国—ASEAN博覧会」が開催されるなど、ASEANとの経済交流が活発化しています。また南寧からハノイまでは高速道路(180キロ)で4時間です。さらにシンガポール―昆明間鉄道連結プロジェクトの研究が進んでいるなど、中国南部とASEANとの経済一体化へ向けたプロジェクトが実質的に進んでいます。北では、例えば、黒竜江省とロシア極東との経済関係が拡大しており、日本、韓国を含めた新たな経済補完関係が構築される可能性が出てきたことが指摘できます(注4)。
西では、例えば、上海協力機構(SCO)の中心的主催者として、中国はロシア、中央アジアとの経済交流で有利な立場にあり、そして、東では、日本、韓国のアジアの経済大国と面しており、経済協力関係が拡大発展しています(注5)。目下、中日韓三カ国間にはFTAが結ばれていませんが、中日韓FTAは東アジアにおける包括的な地域経済連携を発展させるカギといえます。三国間には、農業分野などでの利害関係もありますが、締結に向け官民で研究が進められており、締結までの時間は縮まりつつあります。
北京オリンピックで中国に世界の目が集まりました。今度は、アジアにおける経済連携に世界の関心を喚起させる上で、中国には、チャイナパワーを大いに発揮してもらいたいものです。
注1 交渉決裂の主要因として、「農産品の特別セーフガード、工業製品の関税引下げ問題における先進国と開発途上国(とくに米国とインド)の対立」にあるとしている(商務部所管の『国際商報』7月31日)。
注2 陳部長はインタビューに答え、「交渉決裂後、EU、オーストラリア、ブラジルなど主要参加国が中国に感謝の意を表明した。米国、インドでさえも交渉における中国の建設的役割を認めた」(21世紀ネット 2008年8月4日)と言っている。
注3 ASEANは2015年にASEAN共同体(安全保障、経済、社会文化の3つの共同体から構成され、物品、資本、サービス、人の移動などがいちだんと自由化される)を創設することで合意している。また、EUとは2007年5月にFTA交渉を開始。
注4 中国における東北振興策、ロシアにおける極東開発の積極化、日本と韓国におけるランドブリッジ(シベリア鉄道など)の積極利用などこの地域での経済協力関係・補完関係に進展が見られること。また、2007年の大連での初のダボス夏会議の開催、2012年のウラジオストクでのAPECの開催などで世界の関心が集まりつつある。
注5 日本にとって中国は最大の貿易相手国、韓国にとって、中国は最大の投資先など。
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「人民中国」より2008年12月30日
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