筆者はこの教授の見解に完全に賛成しているわけではない。鄧小平氏は1992年、南巡講話のなかで、「計画が多いか、市場が多いかは社会主義と資本主義の本質的区別ではない。計画経済イコール社会主義ではなく、資本主義にも計画がある。市場経済イコール資本主義ではなく、社会主義にも市場がある。計画と市場はいずれも経済手段である」と述べた。では、社会主義と資本主義の経済制度上の本質的な違いは何によるのであろうか。鄧氏は主な違いは分配にあると指摘した。同年12月の指示のなかで、「ごく一部の人が豊かになれば、資本主義に陥ることになる。分配に関する問題とその意義について研究する必要があり、今世紀末までを検討期間にあてなければならない」としている。これらから、中国の改革の重点は分配にあることが分かる。このため、大胆な措置を講じ、国民所得の対GDP比率を大幅に向上させ、拡大し続ける貧富の差の縮小に取り組む必要がある。
危機のなかにこそチャンスがある。金融危機から受ける圧力は、社会分配制度改革の進展に困難をもたらすが、これらの改革の緊急性の高さを際立たせるにちがいない。改革・開放政策スタートから30年を経て、中国は重要な時期にさしかかった。改革の方向性を正しく認識し、障害を乗り越えて初めて、確実に前進することができると言えよう。(文=『中国青年報』・安慧)
「チャイナネット」2009年2月17日
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