上海市の嘉定工業区の風景
今年第1四半期(1ー3月)、国際金融危機がなお深刻な影響を与える中で、上海市の嘉定工業区では多国籍企業が大挙して押し寄せるという現象がみられた。ドイツの自動車部品メーカー・コンチネンタルのアジア太平洋研究開発センターやイタリアの自動車メーカー・フィアットのエンジン科学技術研究開発センター、ドイツの自動車メーカー・VMWの人材育成センターなども同区に建設された。「国際金融報」が伝えた。
ある統計データからも、この地域に対する多国籍企業の投資意欲がうかがえる。同区のウェブサイトが発表した情報によれば、同区の今年第1四半期の外資導入額(実行ベース)は前年同期比89.9%増加の6852万ドルに達し、年度計画の45.7%を達成した。
BMWグレーターチャイナエリアのクリストフ・スターク総裁兼最高経営責任者(CEO)は「レベルの高い従業員がいなければ顧客満足度を上げることはできない。上海にアジア最大規模の人材育成センターを建設したのは、中国市場を重視しているからであり、戦略の重点は質の高い製品の中国への導入を一層進めて、製品のラインナップを豊富にすることにある」と話す。
コンチネンタルが同区に研究開発センターを建設した目的は、中国市場に購入可能な製品を提供することにある。すでに吉利持ち株集団有限公司(吉利汽車)がコンチネンタル開発のエコノミーカーの車体制御モジュールを発注し、製品配置を組み替えている。またある国内自動車メーカーも同モジュールを標準装備として採用する計画を立てている。
上海は地理的な条件に優れているため、多国籍企業は上海の拠点をアジア・太平洋市場進出における足がかりと位置づけている。
コンチネンタルアジアエリアのジェイ・カンケル総裁は「2013年にはアジア地域でコンチネンタルの総売上の25%を占めるようになる。上海での現地化に向けた研究開発戦略を強化する」と話す。また同社のシャシ・安全システム部門のラルフ・クラメール総裁は「嘉定の研究開発センターは私たちが日本や欧州に設けた研究開発とさまざまに協力することになるだろう。なぜなら北米の情勢がよくないからだ。特に日本と韓国の市場に向けた製品の研究開発で役割を発揮することになるだろう」と話す。
「人民網日本語版」2009年5月13日