通貨や金融の形態だけでなく、外貨準備は実体経済としての形態も備えるべきだ。たとえば外貨準備を運用して企業の海外進出戦略と組み合わせる、あるいは国の発展にぜひとも必要な大型設備やハイエンド技術を買い付ける、あるいは海外で戦略的資源に投資したり、超大手企業の株式を購入したりする、などだ。当然のことながら、西側諸国で早い段階から構築された技術障壁や「ファイヤーウォール」に直面して、上記のような投資活動などはしばしばカベにぶつかってきた。このほかにも、他国への融資や他国の土地、不動産、その他の大口商品の直接買い付けなどという選択肢もある。
現在の問題は、外貨準備の多元的なルートに対して科学的な評価を加え、科学的で合理的な外貨準備構造を確定すると同時に、さまざまな選択肢に対してそれぞれに評価の基準を確定させる必要があるということだ。こうした情況の下でこそ、外貨準備の選択にあたり、確定された割合に基づいて新たに増やす外貨を合理的に分配し、無計画な増額や恣意的な増額を減らすことができる。外貨準備の多様化を実現し、科学的で合理的な外貨準備構造を確立することは、ぜひとも達成しなければならないプロセスだ。新分野の一部には開拓を急務とするものもあり、冒険だからといって足を止めるわけにはいかない。
さきに中国が米国債を買い増ししたのは、その他の選択肢を選ぶ力がなかったからであり、中国の一連の投資が損失を出したり、阻害されたりしたのは、中国にこうした方面の人材が不足していたためだ。中国はまだ国際的ルールをよくわかっていないということは認めなければならない。資本の運用について、中国はまだ小学生レベルであり、だまされた後でもなかなかそのことに気づかない。国際金融という「巨大なワニ」が今にも飛びかかろうとうごめく情況に直面しても、事態がよくのみこめていない可能性もある。中国には国際金融の実務や戦略的投資、経営管理に精通した人材がぜひとも必要だ。
外貨準備は国の資産であり、国民がその保有状況の安全性に重大な関心を抱くのは当然のことである。また外貨準備の運用は国家戦略の一部分であり、隠蔽すべき点もある。このため関連部門は国民の疑念を解消して理解や信任を得ると同時に、戦略的意図を最大限度隠蔽するにはどうするかを考えなければならない。これはしっかりと考えるに値する重要な問題だ。
作者の陳家興氏は「人民日報」海外版の編集主幹。
「人民網日本語版」2009年8月20日
|