米国のマサチューセッツ大学ダートマス校(マサチューセッツ州)はこのほど、紙幣のコカイン含有量に関する調査を行った。それによると、米ドル紙幣とカナダドル紙幣のコカイン含有量が最も高く、汚染された範囲が最も広かった一方、人民元紙幣と日本円紙幣は最も「清潔」であることがわかった。調査は5カ国の30都市でサンプル調査の形式で行われた。「国際金融報」が伝えた。
今回の調査は同校の中国系科学者ユエガン・ツオ博士が中心となって行われたもので、米国、カナダ、ブラジル、中国、日本の30都市で紙幣のサンプルを収集し、表面のコカイン含有量について調べた。
調査の結果、17都市で収集された米ドル234枚のうち、9割にコカインの痕跡が確認され、含有量は0.006ミリグラムから1240ミリグラムの間だった。
米ドルのコカイン汚染の割合は、2年前に行われた同様の調査時より約2割も上昇した。2年前はコカインの痕跡がみられた紙幣は67%にとどまっていた。米ドルに次いで汚染率が高いカナダドル紙幣は、85%にコカインの痕跡が確認された。一方、人民元紙幣や日本円紙幣のサンプルにはコカインの痕跡がほとんどみられず、「最も清潔」な紙幣であることがわかった。
調査の結果、米国では都市の規模が大きくなるごとに、「不潔」な紙幣のコカイン含有量がますます多くなるということがわかった。ホワイトハウスや連邦議会議事堂がある首都ワシントンでは、流通する米ドル紙幣の95%にコカイン汚染が確認された。
ツオ博士によると、紙幣にコカイン汚染がみられる原因として、麻薬の売買を紙幣で行う際にコカインの粉末が紙幣に残るケース、コカインの吸飲時に紙幣をストロー代わりに用いるケースなどが考えられるという。また銀行の現金自動預払機(ATM)で紙幣を処理する場合に、紙幣間の麻薬の「伝染」が加速する可能性もあるという。
ツオ博士は「このように深刻な結果がみられたのは、経済の低迷と関係があり、重圧の下で薬物に慰めを見いだそうとする人がいることを強く示唆している。ほとんどの紙幣はコカイン含有量がごくわずかであり、接触した消費者の健康を損なうようなことはあり得ない」と述べる。
「人民網日本語版」2009年8月21日