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東京財団研究員:内需けん引は中国の急務
発信時間: 2009-10-27 | チャイナネット

 

今の中国は、80年代の日本と似たような為替相場の難題と圧力をつきつけられている。日本の有名シンクタンク「東京財団」の関山健研究員はこのほど取材に応じ、「人民元を切り上げるべきか、またいかに調整すべきかは中国自身の利益に基づいて判断しなければならない。日本の過去の経験にみると、今の中国に一番必要なことは為替相場政策の調整ではなく、いかに合理的に内需をけん引し、管理するかだ」と語った。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

関山氏によると、多くの人は1985年の「プラザ合意」後の急激な円高が日本経済に長期的な低迷をもたらした主要原因だと考えているが、この見方は全面的ではなく、正しいとはいえないという。「プラザ合意」後の急激な円高は確かに日本のバブル経済を破綻に導いたが、バブル経済の形成と破滅、それに経済全体の長期的な低迷のより深い原因は日本の金融政策のズレと内需管理の不備にある。これらの教訓を中国は汲み取るべきだ。

70、80年代、日本は巨額の対米貿易黒字に直面、米国側から内需を拡大し輸出超過を抑えるよう圧力がかかった。日本は内需拡大に向け通貨緩和政策を取ったことで、さらなる過剰流動性問題にさらされ、大量の資金が不動産市場や株式市場に流入した。銀行は低利率で利潤が縮小、貸付拡大によって収益を確保した。これにより企業融資が容易になり、企業は大量の資金を不動産や株に投資した。

関山氏は、日本経済がバブル破綻した主な原因は円高ではなく、金融政策の突然の変化にあるとみる。日本銀行の三重野康氏は1989年12月に総裁就任後、それまでの通貨緩和政策を改めた。それに加え、大蔵省(現・財務省)が1990年3月に土地関連への融資引き締めを指示したため、不動産価格が下落、株式市場も暴落した。信用が崩壊した時期でも日本は依然として引き締め政策を続けたため、経済状況の急激な悪化を招き、「失われた10年」といわれる経済低迷期が始まった。

その後、日本経済が長期的な低迷からなかなか抜け出せない直接的な原因も円高にあるのではなく、不良債権をキッパリと素早く処理しないことにある。経済の衰退、地価と株価の下落と同時に、企業の業績も悪化し始め、その結果、金融機関の不良債権が膨らみ、貸付引き締めにより企業融資が困難になるという悪循環が形成された。日本政府と金融機関は不良債権の処理において決断を先送りし、最終的に日本の内需を悪化させ、経済を長期的な低迷に陥れることになった。

当時の日本と今の中国は経済成長の原動力が外需ではなく内需にあるため、為替相場の上昇は決定的な問題ではない。適切な方法で内需を有効にリードし管理することが最も重要となる。中国は日本の二の舞を踏まないよう努力しなければならない。

今人民元は切り上げの圧力にさらされている。人民元の急激な切り上げは中国にとって紛れもなく不利だが、内需に勢いがあり、輸入が増えている状況のもとで人民元をゆっくりと切り上げていくことも中国自身の長期的な利益につながる。

「人民網日本語版」2009年10月27日

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