上海銀行業監督管理局の張光平副局長は12日、「大陸部のプライベート銀行はまだ初歩的な段階にある。プライベート銀行業務に対する監督管理は空白で、対応する監督管理条例が来年か再来年にも制定される可能性がある」と述べた。「国際金融報」が伝えた。
ここ数年来、上海でプライベートバンク業務が急速に発展している。昨年3月には、中国工商銀行プライベートバンク部門が中国銀行業監督管理委員会(銀監会)から初めてプライベートバンク営業許可証を取得し、国内でのプライベートバンク業務が正式にスタートした。中国農業銀行のプライベートバンクプロジェクトは今年2月にスタートし、上海にプライベートバンク業務の本部と関連機関12カ所を設置する計画が来年5月までにスタートする見込みだ。また中国銀行、招商銀行、香港上海銀行(HSBC)も上海でプライベートバンク業務をスタートしている。その他の大手銀行、株式制銀行も年初以来、相継いで本部の部門や内部部門を設置するなどして、プライベートバンク業務の開始に向けて積極的な準備を進めており、中にはすでに業務をスタートしたところもある。
ある国有銀行の関係者によると、上海は中国の、ひいてはアジア太平洋地域の重要なプライベートバンク集積地になる可能性があり、未来のプライベートバンクは上海で大きく発展する可能性がある。このほど発表された上海国際金融センターの建設推進文書では、プライベートバンクの計画内容に特に言及しており、対応する監督管理措置がぜひとも必要になっている。
だがプライベートバンク業務の発展は急速で、そのことが逆にボトルネックとして制約になっている。上海金融学会の理事兼金融市場研究部の副主任を務める上海財経大学の奚君羊教授によると、このたび上海銀監会が監督管理措置をタイミングよく打ち出した主な原因はここにある。中国資本銀行が打ち出した資産管理商品の中には、約束した予想収益を達成しないものや、収益がゼロという商品まであり、外資系銀行がハイエンド顧客向けに打ち出した金融派生商品(デリバティブ)取引では、顧客に巨額の損失を与えたものもあり、銀行と顧客との間で法律をめぐるトラブルが絶えない。またプライベートバンク業務の種類が急激に増加し、各種商品が出回っているが、銀監会が取り扱いを認めていない商品に属するものも多数あり、関連の規定を打ち出して監督管理を強化しなければ、プライベートバンク業務は無秩序な競争の状態に陥り、市場の混乱を引き起こすおそれがある。そうなれば、顧客の正当な利益も保障できなくなる。
奚教授は次のように述べる。監督管理部門は消費者の利益保護の観点から市場を規範化し、信頼できるリスク予防措置を早急に制定する必要がある。プライベートバンク業務を取り扱った経験を踏まえて、取り扱う商品を認定し、境界線を設け、参入条件、業務の範囲、情報公開、取り扱い歴などについて規定を設けると同時に、内部統治、業務プロセス、リスク管理をめぐり具体的な要求を出すことが必要だ。プライベートバンク業務を取り扱う際は、顧客にリスクを提示し、従業員が業績を求めて顧客にリスクを隠すといった事態を回避しなければならない。
「人民網日本語版」2009年11月13日 |