中国対外貿易大学中国WTO研究院は18日、「2010年世界経済貿易の発展と政策の展望」報告を発表した。これによると、2010年は保護貿易の方法がより隠蔽的で戦略的になり、欧州連合(EU)等が打ち出すであろうより多くの保護貿易による中国の対外貿易環境への新たなリスクに警戒する必要があるという。経済参考報が伝えた。
米国は従来の貿易救済方式以外にも、隠蔽的で戦略的な方式がすでに一部で見られる。その一例としてエコ経済の概念を提唱することで、一方で国内経済の新たな経済成長ポイントを求め、もう一方で気候変動、省エネ・排ガス削減などグローバルな議題の中で戦略的イニシアティブを取ろうとしている。この提唱は理論研究、政策設計、社会的宣伝の上では有利だが、強い戦略的保護貿易の動機が見え隠れし、将来的に中国の製造業の国際競争力に深刻な打撃を与え、中米貿易摩擦の新たなリスクになる恐れがある。
EUは中国に貿易黒字をもたらす主要国であり、短期的にはこの状況に大きな変化はないだろうが、今後も人民元の切り上げを迫り、さまざまな反ダンピングや反補助措置を取り貿易赤字に対応すると予想される。「来年、中欧貿易関係が今年よりさらに悪化しないかに注目が必要だ」とWTO研究院の張漢林院長は話す。
「今年の対中貿易保護措置を打ち出したのが主に欧米だとすれば、来年は発展途上国が打ち出す貿易保護に警戒しなければならない」と張院長は指摘し、来年中国が直面する貿易摩擦情勢は非常に厳しく、悪化の一途をたどるであろうとの考えを示した、グローバル経済が徐々に回復していくプロセスにおいて、もともと成長を回復させる市場の規模は大きくない。各国はさまざまな手段を講じて限りある外部市場の争奪を繰り広げるだろう。なかでも最も簡単で直接的なのが価格による手段で、これが必然的に他国が保護貿易に走る言い訳にもなる。
「人民網日本語版」2009年12月21日 |