国務院発展研究センターの劉世錦副主任は、中国経済の成長ペースをテーマとする次のような論考を発表した。
中国経済は高度成長期に入ってから30年が経った。世界には40年連続で7%以上の経済成長率を維持した国・地域が3つある。香港地域、シンガポール、そして韓国だ。これらの国・地域は比較的小さな経済であり、大きな経済体が長期にわたり高い成長率を維持した例はまだない。それでは中国経済の成長ペースは今後どれくらい続くだろうか。一般的には10年と予測されている。これからの10年間には多くの、大きな不確定性があるとみられるが、少なくとも次の2点だけは確定的だ。一つは、中国経済は今後、中・低速の成長期に突入するということ、もう一つは、こうした転換にかかる時間はそれほど長くはないということだ。
中国の高度成長が今後10年間維持できたとすれば、2つの課題に直面することになる。第一の問題は、高度成長期の潜在力を十分に発揮させ、高度成長がより長く続くようにしなければならないということ。第二の問題は、中・低速の成長期に突入するための準備をしっかりと行うということで、こちらがより重要だ。
経済が中・低速の成長期に入った後には、どのような局面を迎えることになるだろうか。金融危機の衝撃を受けて、昨年第4四半期(10-12月)と今年第1四半期(1-3月)には経済成長率が約6%まで落ち込み、その結果、企業の利益が減少を続け、財政収入も大幅に減少し、出稼ぎ農民労働者約2千万人が職を失った。わずか2四半期で、私たちは大きな圧力を感じた。これが2四半期のみならず常態化したとすれば、良好な局面を維持するにはどのようにすればよいのだろうか。私は次の3点が重要だと考える。
(1)革新の問題
先進国の経済では2%や3%の成長率が普通だが、これでも企業は利益を上げている。だが中国で成長率が6%を下回れば、ほとんどの企業は利益を出すことができない。中国企業は主に投資に依拠し、巨大な市場の容量に立脚して急速に拡大してきたため、市場は急速な成長を遂げ、流動性も好調で、儲けを出すことが可能だった。だが市場ニーズの伸びが鈍化すれば、技術の進歩に依拠し、生産効率を高めることで利益を出さなければならなくなる。よって私たちは現在、一つの転換点に直面しており、こうした転換を達成し、革新によって新たな収益力を身につけなければならないのだ。
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