米商務省は5日、中国から輸入しているワイヤデッキに対し、最高289%の反ダンピング関税を適用することを仮決定した。2010年に入って最初の米政府による対中貿易制限だ。世界がまさに新年を迎えた中、めでたい雰囲気を壊す今回の決定となった。
世界的な金融危機が爆発後、各国政府は保護貿易主義へのボイコットを宣言したものの、政策を操作する中で保護貿易主義の影が依然ちらついていた。世界貿易機関(WTO)の最新データによると、昨年10-12月期に世界で行われた反ダンピング調査は234件、反補助金調査は23件だった。昨年1年間で行われた反ダンピング調査は230-250件と前年比11-20%増、反補助金調査は41件と同193%増だった。一部の国が取っている保護貿易主義が世界経済の回復・成長の足を引っ張っている。
保護貿易主義が過去に国際社会に悪影響をもたらしたことは記憶に新しい。1929年の世界経済危機爆発後、米国議会は悪名高い「スムート・ホーリー関税法」を成立させ、2万種類以上の輸入製品に高い関税をかけた。この一石が波紋を呼び、各国はこれに対抗する措置を次々と打ち出す結果となった。
過去の失敗を重ねないよう、貿易の自由化保護と促進に向け、国際社会は関税と貿易に関する協定およびその後の世界貿易機関による多角的な貿易体制を確立した。が、残念なのは今回の金融危機が起きてから一部の国は過去の教訓を忘れ一時的な経済利益のために、貿易自由化の公約を顧みず、保護主義の大旗を再び振り始めたことだ。このような自分本位なやり方が聡明ではないことは歴史が再び証明するだろう。
注目に値するのは、今回の保護貿易主義の波のなかで、中国などの発展途上国が往々にして被害者となっていることだ。昨年9月に人々を驚かしたタイヤ特別保護措置に続き、米国政府はまたも中国製のシームレス鋼管、塩化バリウム、アイロン台、テトラヒドロフルフリルアルコールなどの製品に反ダンピング調査、反補助金調査、再審査を相次ぎ適用してきた。
厳しい世界経済と貿易状況に直面するなか、有識者は各国に保護貿易主義の危害を警告し、保護貿易主義のやり方をボイコットし、オープンで公正な世界の貿易環境を築くよう呼びかけている。ところが今も保護貿易主義のやり口が依然として蔓延し、世界経済の回復に深刻な危害をもたらしている。
こういった状況にあって、多くの発展途上国は一方で積極的に貿易の自由化保護や保護貿易主義反対の立場と決意を主張し、もう一方で日増しに深刻化、長期化するであろう保護貿易主義に対する心の準備を整え、状況の変化に基づき、さまざまな対応措置を素早く検討して打ち出し、複雑な国際貿易情勢に余裕をもって対応していこうとしている。
「人民網日本語版」2010年1月7日