長期金利は「経済の体温計」と言われている。日本の長期国債市場の10年物国債の利率は8月4日、一時0.995%まで下がり、7年ぶりに1%を下回る水準となった。これと同時に、日本円為替レートが急上昇し、株式市場も低迷し、これらが再び日本経済に大きな試練をもたらしている。
長期にわたり、日本の長期国債の利率はずっと2%以下の水準で推移していた。2003年6月には、日本の長期国債の利率は一時、史上最低水準の0.43%まで下がった。イラク戦争により、市場の日本経済の先行きに対する懸念が高まり、大量の資金が国債市場に流入したことが原因だった。
今回、日本の長期国債の利率が再び1%以下に下がたのも、市場の日本経済の先行きに対する懸念が高まっていることの表れである。金融危機の発生後、欧米の家庭と企業の借金が多すぎることにより、新しい需要を作るのが難しく、世界経済の回復プロセスに影響が及び、そのためにデフレに陥り、外需依存の日本経済にマイナス影響を与える可能性があると見られている。
国際通貨基金(IMF)は、2010年の日、米、欧経済における供給と需要の差はおよそ1兆ドルに達すると予想している。また日、米、欧はともにデフレ問題に直面している。したがって、市場関係者は、日、米、欧が同時にデフレに陥っていることで世界経済の先行きは不透明になったと指摘する。それによって、市場の資金が比較的安全な国債市場に大量流入したことが、日本の長期国債の利率水準が低下した主な原因だという。