今年初め、世界経済の回復が早まってきたことに多くの人が歓喜の声を上げていたころ、著名な経済学者でありモルガン・スタンレー・アジア会長のスティーブン・ローチ氏は大胆に予言した。世界経済が二番底に向かって沈んでいく可能性がいまだ40%残されていると。
「今もその考えは変わっていない」と今月イェール大学教授の肩書きを得たばかりのローチは自信を持って上海証券紙の記者に述べた。ローチの論拠は簡単だ。激震のあとに続く余波が先進国の経済回復をはばむ極めて大きな足かせとなり、結果として、輸出にけん引された中国などの発展途上国の経済に大きな「逆風」をもたらす恐れがあるというものである。
欧州債務危機が世界経済に二度目の後退をもたらすかどうかは別として、今後数カ月にわたって世界経済の回復が遅まるだろうというのは共通認識となっている。このような情勢のなか、中国はどのような挑戦を受けることになるのだろうか。中国の輸出業は厳しい試練を迎えるだろうと著名な専門家はみな考えている。しかし適切に対処しさえすれば、中国経済の長期持続成長に影響することはない。
イェール大学中国経済課程教授のローチは、中国は今年下半期に外需の「顕著な減退」が見られるだろうと考えている。累計で中国輸出の40%近い額を占める米国市場と欧州市場が最大の足手まといとなるに違いなく、欧州の成長減退は主権債務危機のひとつの現れであるとする。これに対して米国では、経済の持続的回復が複合的要因を受けて阻害されるという。税金還付の優遇政策が終了した後、不動産市場は需要不振におちいるだろうし、在庫回復の魔力がなくなったこともあって、個人消費の慢性的低迷が顕著となる。