「これらのマイナス要因も、4月以来中国自身の政策調整が引き起こした不動産の冷え込みも、今年年末に中国経済成長率が8%から9%に落ち込むだろうことを暗示している」とロッキーは言う。
クレディ・スイスの陶冬は、中国の輸出状況が悪いと言っても今年は大したことはない、心配すべきは来年だと述べる。「多くの製造企業がすでに年末や来年第1四半期までの発注を獲得しており、そのうちの10%が取り消しになったとしても、今年の年間輸出額が大きく落ち込むことはない」。欧州債務危機はいまだ外需に顕著な打撃を与えておらず、中国の輸出は下半期10%以上の成長幅を見せる可能性もあり、輸出に関して二番底を憂う必要はないとの考えだ。しかし、各国の財政緊縮と在庫の適正水準への到達にともない、来年には輸出は弱まる恐れがあるという。
ドイツ銀行大中華区チーフエコノミストの馬駿氏は、今回の危機を経て、中国経済の成長構造が根本的に変化するだろうと考える。今後の十年で輸出と不動産が経済成長の原動力であり続けることはありえず、高い成長水準を保ち続けるには、消費・サービス業・エコ経済を新たな成長材料としなくてはならないというのが同氏の考えだ。
輸出への過度の依存状態を脱するために中国などのアジア国家は多くのことをする必要があるとローチは言う。1990年代末、発展途上のアジアはGDPの約35%が輸出だったが、10年後にはこの比率が45%まで上昇した。「2008年から09年の金融危機の余波が米国と欧州の需要に長期的な影響を与えることが危惧されるなか、アジアの外需依存度は逆に高まっている」。