チップLEDの中核技術が日本と米国に独占されている状況の中、江西省南昌市のハイテク開発区にある晶能光電有限公司は、窒化ガリウム(GaN)半導体の発光材料分野で第3の技術路線を独自に発展させ、シリコン(Si)基板LED(発光ダイオード)についての独自の知的財産権を備えた世界で唯一のLEDメーカーとなり、各界の注目を集めている。
LEDの光源は低圧の微電子製品で、新興のデジタル情報化製品でもある。「メードインチャイナ」のシリコンLEDは今後、世界のLED光源産業のトップに立って、産業を主導していけるだろうか。
▽世界のLED応用製品の70%は中国で加工製造されるが、中核技術は日米に握られている
LEDは1990年代に日本の実験室で生まれ、世界で急速に産業化され、伝統的な光電産業をあっという間にひっくり返した。LEDバックライト技術がディスプレー分野に参入してからわずか数年の間に、多国籍企業が生産するノートパソコンや携帯電話のディスプレーは100%LEDとなった。
あるデータによると、世界のLED応用製品の70%以上は中国で加工製造されている。だが国内に1千社以上あるLEDメーカーの中で、産業の川上にあるものはわずか10数社ほどに過ぎない。
産業チェーンの川上にいるチップLED技術は、サファイヤ基板LEDと炭化ケイ素(Sic)基板LEDが主流で、中核技術や特許は日本と米国に掌握されている。同公司の王敏副総裁(副社長)によると、LEDチップを生産する有機金属気相成長法(MOCVD)装置の技術は、ドイツのアイクストロン社と米国のビーコ社に独占されている。
LEDの産業規模が拡大を続ける中で、日米などの先進国は相次いで技術障壁を設置した。2010年2月には、米国消費者製品安全委員会(CPSC)と米イノバージュ社が共同で、中国産のディスカバリーキッズ・マリンランプおよびサファリランプに自主リコールを発動。これ以前にも同じような事件が多数発生している。中核技術と特許を欠いていることから、多くの中国企業は特許訴訟でたびたび「ダメージ」を負っている。
より大きな脅威はこの先にある。2009年以降、外資系企業が中国LED市場に大挙して押し寄せ、陣取り合戦をしている。ある業界関係者によると、LED技術の応用ルートがまだ十分に開拓されていない中で、日米の技術路線に追随していた中国LED産業には、過度な投資や過剰な生産能力という傾向が生まれた。