世界の流動性が「目方を増し」、人民元の長期的な切り上げが続く中、中国の政策は「国内引き締め」によって「国外の緩和」に対応しなければならない。
食品価格の上昇はインフレに圧力をかけてはいるが、実体経済の虚構化や資産価格のバブル化によるリスクに警戒しなければならない。また、ブラジルやタイ、韓国、フィリピンなどの国はいずれも資本流入に対する規制を始めたか、その準備を進めている。、中国は資本項目の開放を一部規制し、それを強みとしていたが、諸外国の規制措置によりその効果は弱まり、海外のホットマネーに対する吸引力が大幅に増すことになる。
この角度から判断して、中国は金利引き上げの周期に入る必要がある。実際のところ、金利差の拡大によるホットマネーの急速な流入を極端に心配する必要はない。現在ホットマネーは、裁定取引やキャリートレードではなく、資産価格の上昇による利益を追求している。金利引上げは資産価格のバブル抑制に有利で、ホットマネーの流入速度を抑える効果がある。新興経済体や小型経済体の資本流入への規制導入にともない、中国も資本項目の開放度をある程度コントロールする必要がある。
米国の量的緩和の常態化で懸念されるのは、香港のようなドルペッグ制を実施し、資本項目を完全に開放している経済体だ。香港の経済周期は大陸部との一致が進み、人民元切り上げを背景に大陸部が香港に需要を送り込む一方で、米国がドルペッグ制の下、香港に通貨政策や流動性を送り込んでいる。2者対立の結果、資産バブルと経済過熱といった局面が形成される可能性が高い。ドルペッグ制が試される時が来ている。
「人民網日本語版」2010年11月5日