第3回中米戦略・経済対話が今月9日から10日かけて、米国の首都ワシントンで開催される。この対話メカニズムは2009年にスタートし、09年7月に行われた第1回対話と10年5月の第2回対話は、それぞれ成功裏に幕を閉じた。「国際金融報」が伝えた。
今回の対話の正式な議題と具体的な議事日程はまだ発表されていないが、あるアナリストは、前2回の基本的な路線、中米関係の現在の特徴、グローバルな側面からみた情勢の変化などを踏まえて、今回は米国に主権債務の信用の保護を促すことや、中国の貿易黒字の真の原因や人民元レート問題を解析することなどが「ヤマ場」になるとの見方を示す。
▽予測される議題2:中国の貿易黒字の真の原因を解析
これまでの対話では、人民元レートや中国の貿易黒字が常に避けて通れない話題となっていた。
〈人民元レート〉
・実際に有効なレートを基準とするべきで、対米ドルレートを基準としてはならない
米国議会が可決した「公正貿易に向けた通貨改革法」の規定によると、基準通貨が低く見積もられていないかどうかを見分けるポイントは、同通貨の通貨バスケットに対する実質実行為替レートだ。フランス・パリとワシントンで行われた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議とG20会議の規定によれば、過去18カ月間に5%以上低く見積もられていないかどうかがポイントだという。
・貿易黒字とレートとは無関係
今年第1四半期(1-3月)には、中国の日本、韓国、台湾地区、東南アジア諸国連合(ASEAN)に対して累計608億3800万ドルの貿易赤字となった一方で、米国と欧州連合(EU)に対しては640億2900万ドルの貿易黒字だった。赤字額と黒字額はほぼ一致する。ここからはっきりとわかることは、中国の対外貿易の本当の情況は、日本、韓国、台湾地区から原材料と部品を輸入し、加工や組立をして欧州、米国に輸出するという貨物の流れであるということだ。国や地域によって赤字あるいは黒字と大きな差があるが、人民元レートはただ一つだ。よって、貿易黒字とレートとは無関係であることは明らかだ。
〈中国の貿易黒字〉
・中国の貿易黒字は主に加工貿易からくるものだが、現時点では加工貿易を削減することは中米いずれにとっても可能なことではない。
中国税関がまとめた統計によると、2010年の中国の貿易黒字は1831億ドルで、うち加工貿易の黒字が3229億ドルに上った。言い換えれば、加工貿易がなければ中国の対外貿易は1398億ドルの赤字になるということだ。今年第1四半期には10億2千万ドルに貿易赤字が出現し、加工貿易の黒字は771億1千万ドルに上った。これも言い換えれば、加工貿易がなければ同期の対外貿易は781億3千万ドルの赤字になり、年率換算で3125億2千万ドルの赤字となり、中国は大規模な貿易赤字国になるということだ。よって、米国の要求に従って中国の対米貿易黒字を削減しようとすれば、加工貿易を削減するしかないが、現時点では難しい。
*筆者は新華社世界問題研究センターの孫時聯研究員と中国国際貿易学会中米戦略・経済研究センターの何偉文主任。
「人民網日本語版」2011年5月7日