4月28日、第6回全国人口調査の結果が発表された。国務院発展研究センター金融研究所の巴曙松氏は、「人口調査のデータは今後の中国経済を判断する上で非常に重要な材料である。今回のデータを見て、中国がルイスの転換点を過ぎ、人口ボーナスもまもなく終わることが確認できた」と述べた。
ルイスの転換点(農村から都市への労働者の供給が滞りがちになり、労働者の賃金が上昇するタイミング)が過ぎ、人口ボーナス(子供と老人が少なく、生産年齢人口が多い状態)が終われば、中国経済は生産要素主導型から生産力主導型への転換が必要となる。生産要素主導型から生産力主導型への転換期は国にとって非常に重要である。多くの中等収入国家はうまく転換を果たせず、「中所得国の落とし穴」から抜け出せなくなった。現在までに「中所得国の落とし穴」から脱し、高収入国家となったのは、日本とアジアNIEs(韓国、台湾、香港、シンガポール)だけである。
2つのターニングポイントを迎えたことにより、次のような結果が予想される。1)労働者の賃金上昇が物価の上昇を招き、労働力の供給が十分にあった時期の低インフレ状態は続かなくなる。2)経済成長が鈍化する。3)労働力供給の停滞が国民の所得配分を改善し、賃金水準が向上、消費が活発となる。4)消費の増大が貯蓄率の低下を招き、投資も減速する。経済成長の動力は投資から消費に変わる。5)所得配分が合理的になり、クズネッツの波(建築需要に起因するおよそ20年周期の景気循環)がスムーズに切り抜けられるようになる。
中国経済が今後も持続的に成長できるか否かは、クズネッツの波が周期通りにやってくるか否かにかかっていると言える。2つのターニングポイントが過ぎ、所得配分の不平等が改善され、所得格差の臨界点の到来が早まった場合、臨界点到達後、順調に経済成長を果たせるかどうかは、市場の力、そして政府の政策にかかっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月18日