ラテンアメリカ諸国は1970年代に「赤字財政??負債成長」戦略を実施し、当時の世界経済の衰退を乗り切った。しかし赤字財政により、ラテンアメリカ諸国は債務危機に陥り、同地域の1981-1990年のGDP年間平均成長率は1.0%のみに、1人当たりGDP成長率はマイナス1.0%のみになり、「中所得の罠」に陥った。中国も今後、赤字財政政策を実施することは間違いないが、これはやむを得ないことだ。しかしラテンアメリカ諸国と比べ、中国には長所とメリットが存在する。
(1)中国の今後の債務増加は日本と同様に、内債が圧倒的比率を占める。中国は外貨準備高が世界一の国であり、外部からの影響を受けにくく、危機が発生する可能性は低い。(2)中国は過去30数年間に渡り工業の基礎固めを行い、世界的な競争力をつけ、輸出額が世界一となった。これはラテンアメリカ諸国の輸入代替方式とは比べられないものだ。後者はかつて、貿易赤字と巨額の外債が毎年続き、最終的に金融危機を発生させた。(3)中国政府の資産負債表の品質はラテンアメリカを大きく上回っている。国有企業の規模を見るならば、政府の受ける「株主配当」は15兆元を超える(2008年のデータ)。これには土地・鉱産物・森林等の国有資源は含まれない。(4)中国人は世界でも稀に見るほど勤勉な国民であるが、これは労働生産性の向上にとって非常に重要である。今後の産業モデルチェンジの過程において、労働生産性を向上させる余地が残されている。ラテンアメリカ諸国はかつての産業モデルチェンジにおいて、労働生産性を低下させた。
上記した通り、中国経済の負債成長は避けられないが、過度に懸念する必要はない。当然ながら、収益率をいかに高めるべきかは、発展の戦略・方式・手段を選択する上で最も重要な指標となる。国家は規模化経済を実現し、企業は労働生産性を高め、国民サービスは公共サービス商品の効果を最大限に高める必要がある。このような経済のモデルチェンジを実現する前提条件として、政府の機能もモデルチェンジさせる必要がある。
「人民網日本語版」より 2012年12月30日