京都大学の中野剛志准教授は、「日本がTPPに加入すれば、日米の経済規模は現在のTPP枠組み全体の9割を占め、実質的に日米FTAとなる。中国や韓国などのアジアの主要経済体が加入しなければ、日本はアジアの勢いを借り景気回復を実現できない」と指摘した。
安倍首相がリスクを覚悟でTPP加入を宣言した重要な根拠は、米国議会が「敏感な商品の関税」について「譲歩する」ことだ。米国がTPPを推進する目的は米国の輸出の活路を切り開くことであるが、オバマ政権が意図的に譲歩しようとした場合も、議会・ビジネス界・業界協会・労働組合からの重圧を受け、問題の解決が予定通りに進まないだろう。ましてやTPP交渉は「一対一」であり、日本は交渉枠組みに加入した11カ国と合意に達する必要がある。これは容易なことではない。