米国など西側諸国の景気回復にともない、ホットマネーの中国など新興経済国離れが始まった。ホットマネー流出によって中国の資産価格バブルが崩壊し、金融リスクが高まるとの懸念の声がある。これについて専門家は、「ホットマネー撤退は中国経済に影響を与えるが、大きな影響はない。中国の経済ファンダメンタルズは良好で、外資の直接投資にとってまだ魅力がある。他の新興経済国に比べ中国の経済規模は大きいため、ホットマネー流出で中国経済の安定性が動じることはない」と話す。
◇ホットマネー流出傾向が強まる
ホットマネーの新興市場離れがまず最初にあらわれたのはアジア太平洋地域の株式市場。報道によると、今月11日、タイの株価が5%暴落、フィリピンの株価は4.6%暴落し、インドネシアの株価も3.9%急落した。
米調査会社EPFRグローバルが発表した最新データによると、6月5日までの1週間で40億ドル以上の資金が新興市場の株式ファンドから撤退した。中国の株式ファンドから撤退した資金もこの5年で最大規模となり、香港の株式ファンドから撤退した資金はこの10年で最高額となった。
新興市場の債券価格は外貨建てと国内通貨建てでともに急落し、資金借入のコストが上がった。余豊慧エコノミストは、「中国国内の銀行間市場はすでに少なくとも2度資金不足に陥り、翌日物の金利は9%に急騰する場面もあった。これは金融リスクの兆候かもしれない」と指摘する。
◇外資は依然中国を有望視
いつわりの繁栄をもたらすホットマネーが撤退するとどんな影響があるか?ホットマネーの撤退で新興市場の株価、為替相場、債券市場が暴落すると専門家は指摘する。余氏は、「通貨の過剰発行や世界の短期資本によって膨らんだ金融資産の「バブル」が最終的に崩壊する。往々にして世界資本の撤退がその引き金になる」と指摘する。
中国もホットマネー撤退のリスクに警戒する必要がある。新興市場でホットマネー撤退による金融リスクが爆発すれば、中国は真っ先に矢面に立つと忠告する余氏。世界のホットマネーがまず最初に流入する中国。株式市場や不動産市場をみると、株式市場が引き金になる可能性が高いが、本当の金融リスクは不動産市場にある。ホットマネーが一気に中国を離れれば、不動産バブルのリスクが刺激され、経済全体のリスクが高まる。
ホットマネー撤退は中国に影響するが、大きな影響はないと指摘する専門家もいる。孫華好氏は、その理由として(1)中国の株式市場バブルはそれほど顕著ではなく、相場が大崩れする確率は低い(2)不動産市場にはバブルが存在するが、外資によるものではなく、外資の購入額を上回る国内需要、地価の高騰、建築業者の高利益など国内の要素によってできたもの(3)QFII (適格海外機関投資家)の投資額が拡大していることは、外資が中国経済の長期発展を有望視し、短期的には撤退しないということ――と説明する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年6月17日