まるで誤入力の連鎖反応のようにアジア、南米、アフリカの新興市場から相次いで資本が流出し、貨幣価値が下落、株式市場や債権市場が大きく揺れ、アジアに金融の嵐が再び吹き荒れる懸念が強まっている。こうした中、中国経済は一人勝ちできるのか?
まず外部の環境から説明すると、米国は量的緩和政策からの撤退で経済回復が予想を上回り、日本経済も好転の兆しがあり、欧州経済は安定に向かいつつある。マークイットが発表した8月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は51.7となり、1.2ポイント上昇した。この数字は市場の予想を上回り、2011年6月以来の高水準を記録した。それに連動して中国の対外輸出も7月は明らかな回復の兆候がみられた。
このところアジアをはじめとする新興経済体に不利な状況がみられるが、中国は新興市場の中心的な国として高い安定性を見せている。インドネシアやタイのアジア経済における地位からしてその動揺がアジアの新興市場経済の基本面に脅威をもたらすことはない。しかも中国は 管理された変動為替相場制を実施しており、資本項目もまだ完全には開放していない上、3兆5000億ドルもの外貨準備を保有している。これらによって中国経済が外部の変動を防ぎ止めることができる。