債務リスクは最も重要なマクロ面のリスクである。バランスシート(貸借対照表)の規模から見ると、政府債務残高の対GDP比は50%となっている。国際的な基準では60%が一般的な警戒ラインとされているため、中国の債務残高は依然制御可能な範囲で、世界の平均的な割合である80%を下回っており、更には先進国の平均である100%に比べても大幅に低い水準だ。
しかし、規模はそれほど大きくないものの、問題は債務返済が2013―2014年に集中しているということである。ここ2年、一部の地方政府では財政支出が財政収入を上回る状況が続き、返済圧力が高まっており、流動性リスクが発生する可能性さえ出てきている。資金の流動がストップすれば、工事期間が比較的長い大量のインフラ建設事業は尻切れトンボの状態となり、銀行は大量の貸付を行ったために不良債権残高が急激に増加する。中国銀行業監督管理委員会のデータによると、第2四半期、中国銀行業の不良債権(NPL)は130億元(約20億米ドル)増加し、7四半期連続で増加傾向にあり、不良債権率は満期を迎える地方政府の債務が増えるにつれ、より一層上昇すると見られる。