IMF事務局長、国際通貨金融委員会事務局長の林建海氏は29日夜、「今年の世界全体のGDP成長率は2.9%に、来年は約3.5%に達するだろう。欧州経済は今年−0.4%となり、来年はプラス成長に転じる可能性がある。新興経済国は今年4.5%に、来年は5.1%になる。2050年の中国の全体的な実力は、米国や欧州を超える可能性があるが、インドの実力も侮れない」と指摘した。
林氏は清華大学五道口金融学院で開かれた講演会で、「米国経済は力強い回復の流れを示しており、今年の成長率は1.6%に、来年は2.6%に達する。財政政策などの制限がなければ、米国経済の来年の成長率は3−4%に達するだろう。日本は強硬な金融政策を実施しており、経済回復がまずまず進んでおり、今年の成長率は2%に達する」と予想した。
林氏は米国・欧州経済の回復に存在するいくつかの問題について、次のように指摘した。(1)回復の道が平坦でなく、速度にばらつきがある。(2)世界の失業率の落ち込みが深刻化しており、2億人が失業する見通しとなっている。(3)世界範囲で高負債問題が生じており、2013年にすべての国の債務が大幅に増加している。政府債務の対GDP比は、いずれも60%の安全ラインを上回っている。(4)世界金融システムの改革に遅れが生じている。
林氏はシャドーバンキングの問題について、「シャドーバンキングは銀行の金融システムに属しておらず、多くの手法は金融市場の発展にとって有利だが、同時にさまざまなリスクをもたらす。その安全性に対する重視が必要だ」と警鐘を鳴らした。
林氏は世界の長期的な発展の流れについて触れた際に、「今日の世界は、米国と欧州が主導しているが、新興国・発展途上国の実力も徐々に強化されている。2050年の中国の全体的な実力は、米国や欧州を超える可能性があるが、インドの実力も侮れない。これはすべての国が国際社会において共に努力し、緊密に協力することの必要性を意味している。またマルチラテラリズムが、今日より重要になることを意味している。世界の気候温暖化、情報の高速伝播などの新たな環境に対して、すべての国は共に努力し、緊密に協力し、手を携えて前進することで、現在と未来の課題を迎えるべきだ」と提案した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年10月31日