振り返ると、近年、人民元の国際化は無数の一歩を次第に深めてきている。2009年のクロスボーダー人民元決済試行以来、2012年に日本円、2013年に豪ドル、そして今回NZドルと直接取引が始まり、人民元の国際化の歩みは明らかに加速しているほか、英国など20カ国以上の国や地域と通貨スワップ協定を結んでいる。
世界第2位の経済大国であり、世界きっての輸出大国であり、そして今年は世界一の貨物貿易大国となった中国は世界の経済・貿易のレースで次々と「第1位」の桂冠に輝いている。これほどの国内総生産があれば、人民元の国際化が国際貿易協力の舞台に踊り出て、貿易決済通貨、投資通貨、国際準備通貨の路線に沿って邁進することはまさに時を得ている。
その勢いは凄まじいものの、人民元決済の限度額は中国の輸出入のわずか10%前後にすぎず、米ドルがなお中国のクロスボーダー貿易で圧倒的な優位性を持っていることを指摘しておかなければならない。日本の日中貿易決済は、米ドルが50%以上占めており、人民元はわずか1%。オフショア市場の人民元総預金量は世界のオフショア市場の総預金量の1%に満たない。人民元の世界での使用規模は拡大しているものの、世界の大口商品に対する発言権はまだない。