◆元安に長期化の可能性も
元安が続く中、5月末からの国有企業の利益分配に絡んだ大規模な外貨購入により、人民元直物レートの下落が助長されたように見える。しかし最近の経済ファンダメンタルズ面の要因こそが、人民元安が続いていることの主な原因であるだろう。
実体経済への「ミクロ刺激」の範囲が拡大する中、金融当局は輸出拡大に期待し、元安傾向の継続を望んでいると分析する声もある。市場参加者の各側はこれについて共通認識に達している可能性もある。またECBの新たな金融緩和策が間近に迫っており、中長期的に米ドルレートを押し上げると見られる。仮に米ドルレートが中期的な上昇トレンドに入った場合、それに伴い新たな段階の人民元安が始まる可能性もある。
アナリストは、「マクロ経済が疲弊を続け、さらなる政策面の刺激が待たれる中、元安予想が当面変わらず、米ドル指数が段階的に上昇する可能性があることを背景に、人民元は今後一定期間において下落傾向を維持するだろう」と指摘する。年初の時点で人民元レートが通年で小幅上昇すると楽観視していた外資系金融機関も、現在はこの予想を下方修正している。例えばUBSはこのほど、人民元レートは年内に1ドル=6.25元の低水準付近で推移すると予想した。
「中国証券報」より 2014年6月8日