安倍首相は年初の施政方針演説の中で、「景気回復の温かい風をどの地域にも届ける」と述べていた。しかし記者が日本各地を取材したところ、東京以外の大半の地方では、景気に大きな改善が見られなかった。鹿児島県の南日本新聞社の海江田由加社会部長は本紙記者に対して、「九州では、せいぜい福岡のような大都市しかアベノミクスの恩恵を受けていない。安倍政権は地方創世のスローガンを掲げているが、この地方に各県の市町村が含まれているかは不明だ」と述べた。共同通信社の世論調査によると、人口の少ない地方ほどアベノミクスに対する評価が低く、東京などの大都市とは対照的だ。
貧富の格差が社会生活のその他の場面にも蔓延しており、教育という貧富の格差の「調節器」も効果を失い始めている。文部科学省の2014年学校基本調査によると、高校卒業生の4年制大学への進学率の全国平均は53.9%となった。地方別に見ていくと、東京都は最高の72.5%、青森県は最低の38.6%となった。両者の差は34ポイントで、20年前の格差の2倍弱に達している。進学率が低い地方の多くは経済水準が低く、学生の多くは家計の問題から学費や家賃を支払うことができない。
東京大学の学生の家計に関する調査によると、同校の学生の半数が年収950万円以上の家庭だ(日本の家庭は年収550万円が平均)。これらの学生は同年齢の人たちよりも早めに塾に通い、学費の高い私立高校に入学する比率も高い。ニッセイ基礎研究所主任研究員の土堤内昭雄氏は、「教育・就職・所得の格差が連鎖反応を形成しており、日本社会の層の固定が深刻化している」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年12月19日