■政策は本質に触れず
国内経済と社会の構造的問題は依然として日本が直面する最大の問題だ。日本誌「世界」の指摘によると、アベノミクスはデフレを経済停滞の原因と見なして、最初から方向を誤った。デフレは表面化したものに過ぎず、真の原因は90年代後半以来の構造的な賃金低下にある。
2014年10月を例に取ると、基本給は0.4%上昇したものの、重要なCPIは2.9%上昇。賃金上昇率が物価上昇率を大きく下回っていることは、庶民の購買力の低下を意味する。これは必然的に個人消費の拡大に影響し、国民経済は悪循環に陥る。
中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英所長によると、日本の製造業の「空洞化」が、円安による日本経済の根本的改善を難しくしている。巨額の債務のために日本財政は薄氷を踏むような状態にある。消費税率引き上げによって債務圧力は緩和できるかもしれないが、アベノミクスの期待するものを実現することはできない。
日本内閣府の調査では、現在日本企業の70%近くが海外に工場を設けている。こうした海外での企業の税は日本政府に渡っているわけではないし、日本国内の中小企業も円安による原材料価格の上昇で、利益がかえって減少している。
陳氏によると、高齢化が日本社会の抱える重要な構造的問題となっている。高齢者は消費力が比較的低いうえ、日本社会は欧米諸国のように開放されてはおらず、外国からの移民に対する抵抗感が根深い。このため労働力をどう拡大するかという核心的問題は大きな進展がないままだ。