経済が「新常態」に入り、中国経済の2015年の成長率はさらに低下する見通しだ。成長目標は約7%に引き下げられ、改革と構造調整の余地が残される。
オーストラリアのウェブメディア「ビジネス・スペクテイター」の中国人編集員・コラムニストの蔡源(Peter Cai)氏は文章の中で、「長年に渡り、一部の人は中国のGDP成長率のデータに夢中になっていた。ある人は、GDP成長率が8%以下になれば、大きな変動が生じると判断していた。しかし結果は、この観点が何の根拠も持たなかったことを証明した」と分析した。
しかし喜ばしいことに、この全国的かつ不健全な「夢中」という態度は、微妙かつ深い影響を持つ変化を迎えている。1人当たりの年間所得が1万ドルを超える中国最大の都市である上海市は、政府によるGDP成長率の目標の制定を停止した。これは史上初の出来事だ。
上海市長は活動報告の中で、政府が2015年に目標を設定することはないと表明した。上海市統計局が数日前に発表した情報によると、上海市の昨年の経済成長率は7%で、1991年以来で最低水準となった。
上海市委員会書記は、GDP成長率をそれほど重視しなくなった数多くの高官の一人にすぎない。中国人民銀行の周小川総裁は、政府が注目すべきはGDP成長率ではなく構造改革だと述べた。
中国の多くの有名エコノミストとコメンテーターは政府に対して、全国のGDP成長率の目標を設定しないよう求めるか、少なくとも持続可能な5−6%という水準に引き下げるよう提案している。ファーウェイの任正非CEO、アリババの馬雲会長などのビジネス界の重鎮も、経済成長率を引き下げることを支持している。
中国の指導部が真剣に見直しを進めていることは間違いない。彼らはGDP成長率に夢中になれば、利益よりも弊害の方が大きくなることを認識し始めている。これは中国にとって朗報だ。さもなければ、有毒な煙霧、汚染された川、飲めない水、日増しに失われていく森林により、中国の成長が最終的に終了するからだ。
中国問題の観測筋も、GDPデータに夢中になるのを止める時が来た。7%の成長率は、中国の奇跡の終了を意味するものではない。中国政府の環境保護、財政改革などの重要な改革の進展を見る方が重要だ。これらの取り組みは、中国経済が今後も健全な発展を維持できるか否かを左右する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年2月10日