このほど欧州や日本は通貨供給量を拡大し、経済回復に勢いをつけようとしている。中国中央銀行(中国人民銀行)も最近、預金準備率と政策金利を相次いで引き下げ、さまざまな革新的ツールを使い市場に流動性を提供している。そのため中国が欧州と日本に追随し、紙幣印刷競争に参与するのではと推測されている。中国人民銀行の周小川総裁はこのほど、「これは比較的ゆるやかな金融政策を意味するのではないかと考える人もいるだろうが、我々が選択しているのは依然として穏健な金融政策であると考えている」と述べた。専門家は、「中国経済は『三期畳加』(三つの期間の重なり―①経済成長速度のギアチェンジ期、②構造改革の陣痛期、③以前の景気対策の消化期)という重要な段階を迎えている。世界の新たな紙幣印刷ブームに対して平常心を維持し、穏健な金融政策を維持し、適度な緩和、適時かつ適度な事前調整・微調整をより重視すべきだ」と指摘した。
中国の構造調整、紙幣印刷に依存せず
昨年末から現在に至るまで、中国経済の減速の圧力が拡大している。中央銀行は流動性の逼迫を和らげるため、先ほど新たな流動性管理ツール、貸付規模管理ツールを使用し、かつ政策金利と預金準備率を引き下げた。
上述したツールにより通貨供給量が増加するが、中国の金融政策は総量とペースにおいて、依然として穏健な範囲内だ。周総裁は、「上述したツールの使用量は以前より増加したが、中国経済全体は、特にGDPで測る場合、以前よりも大規模になった。ゆえにこれらのツールを合わせることで、貸付の増加率、通貨供給量の増加率が、名目GDPの成長率をおそらく2−3%上回ることになる。この量の把握は非常に穏健であり、景気刺激策の実施時期の伸び率を大幅に下回る」と指摘した。
周総裁は、「新常態(ニュー・ノーマル)における穏健な金融政策は、経済成長を支援すると同時に、構造改革を促進する。緩やかすぎる政策は、構造改革にとって不利だ」と強調した。
適度な緩和、特定分野の調整を強化
専門家は、「三期畳加」という経済の新常態において、金融政策の動向は中性的でやや緩やかになると判断した。今後は経済発展状況に応じ、特定分野の調整を適度に行う。またさらなる緩和の可能性もあるが、大幅な緩和の可能性はない。中央銀行は、2015年に穏健な金融政策を維持し、適度な緩和、適時かつ適度な事前調整・微調整をより重視すると表明した。
中央財経大学教授の郭田勇氏は、「経済成長は金融を主な推進力とすることができない。しかし適度に緩和された金融政策はスタビライザーの役割を担い、実体経済の効果的な需要に向けより大きな力を発揮することになる」と分析した。
中国銀行国際金融研究所研究員の高玉偉氏は、「経済鈍化の圧力が拡大し、物価上昇率が低くなっていることから、中国の金融政策は今後適度に緩和される。今後数ヶ月の金融政策・調整は、紙幣供給量の増加率のさらなる低下を回避し、投資拡大に向け良好な融資環境を創造し、特に国家重点プロジェクトの資金を確保するべきだ。また社会の資金調達コストの引き下げを試み、実体経済の利息の負担を軽くするべきだ。他にも資産価格の動向にも注目し、バブル化を防止する必要がある」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年3月25日