日本経済に占める農業の割合は小さいが、日本の農業部門に対する手厚い保護はこれまで国際社会の非難の的となって来た。審査報告は、「農業に対する政府の支援と保護が厚いことで、小規模農家も利益を上げることができ、農業収入以外の補填を得ることができてきた。だがその結果は、農業人口の高齢化と効率の低い農業部門の温存だった」と指摘する。審査では、WTOメンバーの多くが日本の農業政策に疑問を呈し、農業に対する日本の支援と保護の水準がOECDのほかの国々に比べて高いことが特に問題視された。WTO米国大使のマイケル・パンク氏は審査で、農協システムの運営方式に関して日本が打ち出した改革計画を歓迎しながらも、カギとなるのは改革措置が実行できるかということだと指摘した。
WTOメンバーはさらに、日本の国際標準よりはるかに高い日本の動植物衛生検疫措置や技術的貿易障壁、漁業政策などにも疑念を呈した。審査報告によると、2014年3月末時点の日本の1万525件の工業規格のうち、国際標準に一致しているものは半数しかない。Paparizov氏によると、漁業製品の世界最大の生産者・消費者である日本が漁業に対して行う補助と事業には、WTOメンバーの多くが疑念を呈している。審査ではさらに、特定農産品の通関プロセスにも注目が集まったほか、特定のサービス業部門を開放して市場競争のメカニズムを導入するよう日本に求めるメンバーもいた。