シチズンが中国工場を閉鎖し、英銀行RBSが中国から撤退した。最近の一部のグローバル企業による中国事業の調整は、「外資撤退ブーム」に関する懸念を生じさせた。しかし詳細に分析すれば、これは企業が時勢を考慮しグローバル戦略を調整する市場的行為であり、中国の経済および投資環境に不信任案を突きつけたわけではないことが分かる。外資が中国を選び、中国に投資をする流れに変化はない。
エコノミストの加藤義喜氏は、「一部の日本企業による中国撤退は、企業が国内外の経済情勢の発展の変化に基づき、資金・資源の再配置を行い、利益の最大化を目指した結果であり、中国市場に対する自信の喪失を意味するものではない」と指摘した。
加藤氏は、「事業撤退の中心となっているのは、主にアパレル業、軽工業、家電などのローエンド、もしくは労働集約型産業だ。またこの事業撤退の圧倒的多数は、撤退ではなく調整である。競争能力と収益力が低い一部の事業のみを撤退させており、中国市場を完全に手放すと表明した大企業は存在しない。シチズンは中国の工場を閉鎖するとしたが、中国市場を手放すことを否定し、中国での販売を積極的に拡大すると表明した」と述べた。
中国社会科学院世界経済・政治研究所副所長の何帆氏は、「外資撤退の悪影響を誇張する必要はない。中国の産業構造には変化が生じており、外国からの投資にも変化が生じる。中国の人件費が高騰する中、労働集約型産業に投資を行っていた企業は圧力を感じており、一部の事業を撤退させるはずだ。しかし中国の産業モデルチェンジの流れに合致する外資系企業は、急速に発展している。市場のある所に投資が向けられる」と分析した。
米国のシンクタンク・戦略国際問題研究所中国問題専門家のスコット・ケネディ氏は、「外国企業が中国で投資を行ったのは、中国をグローバル生産チェーンの一環とし、この場を利用しその他の地方に商品を輸出するためだった。しかし中国の人件費の高騰に伴い、コストに敏感な一部の企業は中国撤退を始めている。これは正常な市場的行為だ。多くの米国企業は依然として中国への投資を選んでいる。これは中国市場を重視し、消費者に近づこうとしているからだ。中国市場の潜在力と重要性を考えると、外資による大規模な中国撤退が生じる可能性は低い」と判断した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年4月3日