世界の貿易などの資金決済に使われる通貨として、中国の人民元が今年8月、初めて日本の円を逆転し、世界第4位の決済通貨に浮上した。金融機関の通信網を運営する国際銀行間通信協会(SWIFT)が発表した最新データによると、8月の通貨別決済額は人民元が円を上回り、ドル、ユーロ、ポンドに次ぐ4位に躍進している。
SWIFTは、国際銀行間の送金・決済で利用する通信ネットワークを運営する非営利組織。定期的に決済通貨リポートを発表している。SWIFTのデータによれば、8月の通貨別決済シェアで上位3位のドル、ユーロ、ポンドはそれぞれ44.8%、27.2%、8.5%を占めた。
決済通貨として人民元は急速に存在感を高めている。8月の人民元のシェアは2.79%に上昇し、過去最高を更新。1.39%だった2014年1月の倍に相当する水準だ。また、人民元決済額の伸びも顕著。8月の資金決済額は全通貨で8.3%減少したのに対し、人民元は9.13%増加した。決済で人民元を使う企業や金融機関は1-8月で100カ国以上に及んでいる。うち決済額の90%は10カ国に集中。その割合はシンガポールが24.4%と最も高く、それに次ぐ2位は英国の21.6%だった。