消費者の消費意欲に影響を与える原因としては、物価のほかに収入が挙げられる。稼ぐ金が少なければ、気前よく金を使おうという気が失せるのは当たり前だ。日本企業の従業員の賃金はなかなか伸びていない。日本の厚生労働省の公表したデータによると、今年7月と8月の日本企業の従業員の賃金の伸びは昨年同月比でそれぞれ0.9%と0.4%にとどまった。9月の伸びは0.6%だった。またあるデータによると、過去15年、勤労者世帯の全収入の80%を占める世帯主の収入は増えるどころか減っており、減少幅は約9%にのぼっている。それだけではない。高齢化問題が深刻化する中、日本企業の従業員の賃金のうち納めなければならない社会保障費用は拡大を続けており、一人あたりの可処分所得の比率は明らかに縮小している。これは直接、日本の消費者態度指数の低下につながっている。日本内閣府のデータによると、今年7-9月期、消費者態度指数は2カ月にわたって前月比からの低下を記録し、9月は前月から1.1ポイント下がって40.6にまで落ち込み、良し悪しの判断の目安となる50を大きく下回った。
日本経済の衰退のもう一つの原因は投資の不足である。これは一方では企業の投資意欲が減退しているためで、もう一方では企業の経営業績が不調なためである。
日本企業の資本的支出(設備投資)がGDPに占める割合は15%に達し、経済成長を引っ張るカギとなるエンジンの一つとみなされている。「アベノミクス」では、減税によって企業の投資拡大を奨励することが重要な内容の一つとなっていた。だが安倍晋三首相ら政府高官が企業の設備投資拡大を説き続け、法人税を30%以下の水準にまで引き下げようとしているにもかかわらず、企業は設備投資に踏み出そうとはしていない。統計データによると、第3四半期の日本企業の設備投資は前年同期から1.3%減少した。日本企業の多くは2015年度、高水準の設備投資の実施を計画していたが、投資状況は実際には低迷している。