『The Diplomat』12月29日、原題:高速鉄道に乗って感じた中国経済の奇跡
私は数日前、上海市で開かれた中韓関係をテーマとする学会に出席した。翌朝、上海から西へ300キロ超の距離にある江蘇省の省都・南京市に、ある教授を訪ねることにしたが、レセプションに参加するため、上海へすぐに戻る必要もあった。一般の中国人と同じように、まずは高速鉄道に乗ると、南京までわずか1時間ちょっと。それから地下鉄で教授がいる大学へ向かう。帰路も所要時間がほぼ同じで、車内で少し休んでからノートパソコンで仕事をし、上海に戻ったのは、レセプション開始の2時間前だった。
10年前は上海から南京までの所要時間が4時間を超え、今世紀初めの時点では、レセプションに間に合うよう両都市を日帰りで往復することなどできなかった。20年前に私の大学がある街から湖北省武漢市まで汽車で半日を要したのが、今では3時間もかからない。さらに30年前を振り返ると、人里離れた農村に住む人々にとって、汽車に乗るのは非常に贅沢なことで、ある都市から別の都市へ行くのに数日かかることもあった。
鉄道網の発展は、中国の急成長を象徴する。中国全土の鉄道システムはこの25年間に、歴史的な変化を経て進化。今では世界最長・最先端の高速鉄道網が全土に広がり、総延長は2015年末に1万9000キロメートルに達する見込みだ。
中国の高速鉄道は海外にも進出している。中国の技術と設備はロシア、タイ、インドネシアなどで導入され、そのほかにも海外高速鉄道プロジェクトに参加するための準備が進む。こうした動きは、「一帯一路」構想や、新たに創設されたアジアインフラ投資銀行を思い起こさせる。
強調したいのは、中国が「アジア金融投資銀行」を設立したのではないということ。中国は、米国主導の金融システムの中で覇権的な地位を狙わずに、自国の専門技術をベースとした高成長を目指している。中国政府は、自らに何が足りず、何が必要かをわかっているのだ。
中国は今後30年にわたり、どれくらいの速さで走るのだろうか?少なくとも高速鉄道は加速し続け、将来的にさらに多くの記録を作るに違いない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年1月3日