英紙「フィナンシャル・タイムズ」は17日、「『WeChat疲れ』と格闘する過積載ぎみの中国人ユーザー」と題した記事を掲載した。主な内容は以下の通り。
中国で流行しているチャットアプリ「微信(WeChat)」は、米国・日本・韓国などの多くのライバルを大きく引き離している。だが現在、一部のユーザー、さらにはそのクリエイターまでもが、このアプリが「ゴミ情報」という脅威に直面していると考え始めている。
WeChatは、中国の5億人余りのスマートフォンユーザーにとってのモバイルインターネットの代名詞となっている。WeChatの中国人の生活への浸透はいかに強調しても足りないほどだ。だが流行には代価がある。一部のユーザーは、大量の情報や各種の広告が押し寄せるWeChatにうんざりしている。Xie Huanghuangさんはマイクロブログに、情報の洪水に溺れそうになるのでWeChatは開きたくないと記している。「私がかつてWeChatに惹かれたのは、情報爆発時代の処女地だと思えたからだ。だが今やそれも断片化し、情報にあふれ、意味のないものになってしまった」
今年年初には、中国の政府系メディアに「WeChat疲れ」に関する評論記事が掲載された。25%のユーザーは毎日WeChatを30回以上見ているという。「我々はすでにWeChat上のゴミ情報に拉致されている。騒音にあふれたWeChatグループや親戚・友人の際限ないコメントによって包囲されている。誰も拉致されたいとは思っていないだろうが、それぞれが各人の理由でWeChatを捨てられずにいる」
WeChatのユーザー基数はまだ拡大しているが、今後の発展を不安視する声も現れている。かつての競争者であった新浪の「微博(Weibo)」は、大規模に広告を取り入れたことで、ソーシャルメディアの王の座を譲り渡すこととなった。広州の「艾媒咨詢(iiMedia Research)」の担当者は、「Weiboは2011年にピークに達したが、その後は過度に商業化し、マーケティングの道に走り過ぎた。WeChatもまもなく同様の問題に直面するだろう」
WeChatは、ユーザーを広告の嵐にさらす商業モデルの導入には慎重な態度を保ってきた。その創始者は1月、最大の挑戦は「我々がいかに多くの事をできるかにではなく、いかに多くの事から身をかわせるかにある。WeChatのコンテンツを整理するには数多くの取り組みが必要だ」と語った。その同じ週、WeChatは、ゴミ情報の整理を開始し、ユーザーにゴミ情報を送るアカウントを削除または停止し始めた。専門家によると、WeChatは現在、利益の追求と理想の堅持とのバランスの取れた中間の道を見つけようと苦労している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年4月24日