多額の外貨建て負債を抱える企業は為替相場に業績が大きく左右される。その代表格は、航空機の調達でファイナンスリースを活用する航空会社だ。昨年8月以降、人民元の対米ドルレートは3四半期の累計で4.05%も下落し、急激に元安が進んだ。その影響を受け、航空会社はいずれも財務費用が大幅に増え、利益を押し下げる要因となった。
中国金融情報会社の同花順iFindのまとめによると、米ドルに対する人民元安の影響で、昨年に為替差損を計上した中国上場企業は747社に上り、A株上場企業全体の4分の1を占めた。ワースト3はいずれも航空会社だった。
南方航空の為替差損は57億200万元に膨らみ、各社のなかで損失額が最も大きい。それに次ぐ中国国航、東方航空はそれぞれ51億5600万元、49億8700万元の為替差損を計上した。
南方航空の15年12月本決算報告書によると、通期の財務費用は78億2600万元と、前年比で247.67%の大幅増。中国人民銀行(中央銀行)による人民元の対米ドル基準値(基準値)算出方式の変更や米連邦準備理事会(FRB)の利上げを受け、米ドルに対する人民元レートが大幅に下落したことを要因に挙げた。今期の為替差損は57億200億元となり、前年の2億7600億元を大きく上回った。