昨年より「脱グローバル化」がキーワードになっている。一部の人は経済減速、貧富の格差拡大を、グローバル化のせいにしている。一部の政治家はこの傾向を利用し、政治面でポピュリズム化し、経済面でさまざまな形式の保護主義を推進している。グローバル化の列車は、岐路に立たされた。
習近平国家主席はダボス訪問中、国際社会の迷いと疑問について、グローバル化の悪影響を解消し、グローバル化の健全な発展を促進する中国のプランを打ち出し、大反響を呼んだ。私たちはグローバル化において生じる問題により、グローバル化そのものを否定してはならない。グローバル化のより高水準の発展を促し、効率と公平を重視するべきだ。各国・各層・各集団に、グローバル化のメリットを共有させなければならない。
グローバル化の大きな方針に揺れが生じることはない。このグローバル化により、世界の20億人が貧困から脱却し、先進国のグローバル企業の利益が倍増し、発展途上国も自国の工業化を開始した。学者の研究によると、脱グローバル化が主流になれば、2035年の世界の1人当たりGDPはグローバル化の状態から23%減少し、先進国と発展途上国が損失を被ることになる。
グローバル化の問題を解消するためには、公平性と普遍性が必要だ。グローバル化は「諸刃の剣」で、経済発展を促進すると同時に、成長と分配、効率と公平の問題を際立たせる。データによると、グローバル化はこの30年間に渡り、大企業6万社によってコントロールされていた。その圧倒的多数が西側企業で、西側のグローバル企業は世界経済の利益の68%を手にしている。世界の最も豊かな1%の人が、残りの99%と同規模の資産を保有している。グローバル化で、先進国と富豪がより多くの利益を手にした。そのため制度の整備により、グローバル化の悪影響の改革を行う必要が生じた。新興国と発展途上国は協力し、世界経済ガバナンス枠組みにおいてより多くの発言権を手にするべきだ。先進国も改革の勇気と度量を示し、新興国と発展途上国に制度面の多くの権力を与え、経済ガバナンス枠組みの公平性と合理性を高めるべきだ。世界各国は制度制定と発展モデルを改善し、発展のバランスを整え、発展の機会を均等化し、発展の成果を全員で共有するべきだ。発展の公平性・有効性・普遍性を高めるべきだ。
グローバル化の発展には、質向上が必要だ。中国は21世紀初頭に勇敢にグローバル化の渦に飛び込み、苦しい実務的な取り組みを経て、グローバル化の重要な参加者と貢献者になった。中国は今日グローバル化のボトルネックに直面しているが、尻込みしてはならず、質向上により問題を解決し、新たなエンジンと原動力を作らなければならない。私たちは技術による推進、開放と協力により、グローバル化のアップグレードを実現する。確固不動の姿勢で世界の自由貿易と投資を発展させ、世界の相互接続に取り組まなければならない。中国は「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)の建設推進に力を入れ、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)と地域包括的経済連携(RCEP)の交渉を推進し、世界により多くの公共財をもたらし、世界各国の連動的な成長と共同繁栄を実現する。
グローバル化のアップグレードには、大国の責任感が必要だ。時代は長期的な視野を持つ大国の指導者がよき舵手となり、人々を率い時代の問題を乗り越えることを求めている。
習主席はダボスで、中国人の幸福を世界各国の人々の福祉としっかり結びつけた。また困難に直面しても自信を捨て、責任逃れをするべきではないと指摘し、共に困難に打ち勝とうと呼びかけることで、中国の指導者の世界への思いと大国の責任感を示した。各国の指導者もポピュリズムに操られるのではなく、正確な歴史の方向を貫き、正確な政策措置を推進し、難しい問題にもひるまず取り組むべきだ。共にグローバル化の方向を調整し、グローバル化の発展の活力を引き出し、グローバル化の質向上をけん引し、世界各国により多くの良き成果をもたらすべきだ。(筆者:鄭石渓 国際問題専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年2月5日