中国工業情報化部の苗圩部長
国務院発展研究センター主催の「中国発展ハイレベルフォーラム2017年次総会」が、3月18-20日に北京で開かれている。中国工業情報化部(工信部)の苗圩部長は会議で、「中国製造業の発展はモデル転換と高度化の重要時期に入っており、イノベーションがその主要エンジンとなる」との見解を示した。
苗圩部長は、「製造業の発展原動力を強化するカギは、イノベーション主導型の戦略を実行することにある」と指摘。「近年、企業を主体に、産学研用(企業・大学・研究機関・実用化部門)が連携したイノベーションの体系が形成されつつある。それはまた大きな活力と原動力を有しており、イノベーションの大きな成果を次々と実現している」と語り、国産リージョナルジェット機ARJ21—700の商用化、C919大型旅客機の地上滑走試験が完了し近く初飛行の予定であることなどを例に挙げて説明した。
苗圩部長は「中国製造2025」の全面実施、製造業の質と効率の向上を加速するには、下記のような取組が必要だと指摘した。
(1)国家の製造業イノベーション体系の整備
実験室から産業化に至るまでのイノベーション・チェーンの欠けた部分を補い、制度革新でブレークスルーを実現する。産学研連携を基盤に、新材料やロボットなどのイノベーションセンターの建設を加速、省レベルのイノベーションセンターの建設を推し進める。共通性のある中核技術の研究と実用化モデルの構築を進め、産業の共通技術の掌握や供給不足などの難題解決に取り組む。
(2)カギとなる中核技術の開発強化
重点となる新材料の開発と実用化プロジェクトの始動、天地一体化情報ネットワークの論証、スマート製造とロボットなどの重大プロジェクト、車のインターネット(IoV)の実用化、戦略重点分野での主導権獲得を目指す。
(3)工業発展の基礎的能力の確立
重大プロジェクトと重点設備の中核技術・製品の開発が急務となるなか、優位性の高い企業を中心となる産学研連携を支援し、重点分野の発展のボトルネックとなっている問題の解決を図る。実用化を進めるとともに、報奨制度やリスク補償制度を整備、政策を講じて中核となる基礎的部品の開発を支援する。プラットフォームを強化し、開発センターの建設を推進、重点産業の基礎的な技術体系を整備する。