産業構造から考えると、3大金融センターの一つとされる深センには多くの金融期間が集まっているほか、ハイテク産業の急速な発展も税収に大きく寄与している。深セン市財政委員会の情報によると、同市の新興産業の税収は昨年、急速な伸びを見せ、7大戦略的新興産業と4大未来産業は1月から11月までに税収1631億4千万元を実現し、前年同期から21.9%増えた。このうちインターネット産業と文化クリエイティブ産業はそれぞれ33.1%と41%の伸びを見せ、税収の急速な増加の重要な原動力となった。従業員の所得水準もこれに応じて高まっている。
これと比べると、同様に一線都市の一つでありながら、広州と北京・上海・深センとの間には大きな差がある。昨年の広州の個人所得税収はわずか385億9500万元で、北京と上海の4分の1、深センの半分にすぎなかった。
彭澎氏によると、広州と北京・上海・深センとの間の最大の違いは、上場企業の数だ。後者3都市の上場企業数はいずれも、広州の何倍にも達し、企業幹部が多く、高所得層も多い。また上場企業の収入は比較的表に出やすいという要素もある。
大学を卒業して11年の沈さん(女性)は現在、上海のある外資の自動車企業に勤めているが、かつては広州の自動車企業で長年働いた。彼女が第一財経に語ったところによると、自動車産業について言えば、広州と上海の収入格差は比較的際立っている。同様のポストであっても、広州から上海に異動すれば、収入は一般的に3割増しから4割増しになる。北京・上海・深センの賃金水準は比較的高く、中所得層も多く、不動産価格も比較的高い。またこれら3都市には高級住宅も比較的多い。
広州の産業構造は格差形成の原因の一つとなっている。北京・上海・深センで金融産業やハイテク産業などが看板産業になっているのと比べると、広州の産業はより従来型となっている。彭澎氏によると、広州には、大量の専門卸売市場があり、その比率はほかの3つの一線都市を大きく上回っている。だがこれらの個人所得税収に対する寄与はほとんど無視できるほどだ。「多くの小型・零細企業は従業員を数人雇っているにすぎず、個人所得税の納税にはなかなかつながらない」
北京・上海・深センに広州を加えた4つの一線都市の個人所得税収の和は4000億元を超え、全国に占める比率は4割に達する。中国の個人所得税収が特定の地域にかなり集中している現状がうかがわれる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年3月26日