毎年4月下旬から6月は、タイのドリアン収穫シーズンだ。中国・タイ生鮮食品直通車に乗り、これらの高級熱帯果物は収穫から120時間後に中国に香りを届ける。スマート物流ネットワークにより、タイの農産物輸出にかかる時間は72時間に短縮される見通しだ。
これは中国物流企業のグローバル化の縮図に過ぎない。中国香港からベルギー、杭州からモスクワなど、中国企業は世界物流ネットワークで高品質の体験を提供し、徐々に海外市場に拡張し、インターネット経済のウィンウィンの成果をもたらしている。
中国のプランは世界の生産者と消費者をよりスムーズに結びつけ、中国企業の投資もより長期化している。吉利汽車は今年2月にベンツの親会社であるダイムラーの最大の株主になり、ボルボに続く大規模な海外M&Aに成功した。これは中国企業の産業バリューチェーンに基づく世界展開であり、ウィンウィンを目指す新たな試みであり、市場からは積極的な反応が得られた。
JPモルガン中国業務主管の黄国浜氏は、中国企業の海外進出がもたらした新しい流れに留意している。黄氏はメディアの取材に応じた際に「中国企業の海外進出に伴い、西側の投資先は中国市場のスムーズな革新と規模から利益を得始めている」と指摘した。
「中国企業の海外進出はすでに新たな段階に入った。この段階において、中国企業は海外投資先の世界における成長率を高め、世界の投資家から見た魅力を高める」
世界主要タイヤメーカーのグッドイヤーは昨年10月、イタリア証券取引所に復帰し、同年の欧州市場で最大規模の新規株式公開となった。
中国化工集団公司は2年以上前にグッドイヤーを買収し、同社の事業の重点を利益率の高い高品質タイヤに移し、中国における関連生産能力を拡大した。同社のアジア太平洋事業は昨年、収益力の最も高い地域の一つとなった。
黄氏は「この例を見ても、中国企業の海外買収は現地企業に中国の遺伝子を追加し、より良く成長する国際企業になることを促すことが分かる」と指摘した。
ドリアンからタイヤや自動車に至るまで、中国企業と世界の交流が拡大している。
マッキンゼー・アンド・カンパニーは報告書の中で「中国経済はモデルチェンジを加速しており、多くのスタートアップ企業と新たなビジネスモデルが生まれている。中国は世界バリューチェーンで急伸中で、新しい発想とプランをもたらしている」とした。
世界知的所有権機関(WIPO)は「2017年世界知的財産権報告書:世界バリューチェーンにおける無形資本」の中で、中国が「世界の工場」というレッテルを剥がし、世界バリューチェーンのモデルチェンジ・アップグレードの最先端を行っていると分析した。
同報告書によると、中国の世界製造業バリューチェーンにおける地位は近年、着実に向上している。中国企業は高技術付加価値を持つ川上メーカーの仲間入りを果たそうとしている。
この流れに伴い、中国商業資本の国際的な視野と構造が拡大を続けている。
受動的な参与から積極的な展開に移り、中国企業は世界バリューチェーンに深い影響を及ぼしている。中国商務部のデータによると、中国は2017年に世界174カ国・地域の域外企業6236社に非金融類新規直接投資を行い、投資額は累計1200億8000万ドルに達した。中国企業によるM&Aは341件で、世界49カ国・地域に跨る。取引額は計962億ドル。
投資規模が拡大し、投資先が日増しに多元化している。「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)の建設は、中国資本の海外進出に春風をもたらした。中国と一帯一路沿線国の投資協力が着実に推進されており、2017年の一帯一路沿線59カ国への新規投資額は計143億6000万ドルにのぼった。
米サイト「ザ・ディプロマット」は記事の中で、中国企業の対外投資は自身の相対的な規模・実力・競争力を高めると同時に、国際貿易の約3分の2を占める世界バリューチェーンを再構築する可能性があると予想した。
中国産業資本の海外進出のルートが広がり、自国と世界により多くのチャンスをもたらそうとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年5月23日