中国の2020年第1四半期(1~3月)の統計からみて、国内の株式市場、為替市場、債券市場とも概ね安定していることがうかがえる。金融部門が打ち出した一連の政策が、新型コロナウイルスの感染拡大防止と実体経済の改善を支えたとみられる。
外国為替市場を例にとると、今年に入ってから、人民元相場は上下双方向に変動する中で概ね安定を保っており、為替レートは安定的に推移すると予想される。国境を跨ぐ資金移動も概ね安定しており、為替市場の需給もほぼ均衡を維持、人民元相場は世界の基軸通貨の中でも比較的安定を維持している。
新型コロナウイルス感染症への対応として、金融政策の中で重点が置かれたのは、流動性の逼迫による金融システムの混乱を防ぎ、十分な流動性を提供することで市場の期待を安定させる点だった。統計によると、第1四半期(1~3月)の人民元建て新規貸出額は7兆1千億元と前年同期に比べ1兆3千億元増加した。3月末時点のマネーサプライM2の伸び率は10.1%と数年ぶりの高水準に達し、再び2桁台の伸びに戻った。社会融資規模(=金融から実体経済へ供給される資金総額)の伸び率は11.5%と、2019年末時点に比べ0.8ポイント上昇、カウンターシクリカル(反循環的)な調整が強化された。
新型コロナウイルス感染症の発生以来、金融部門は公開市場操作と的を絞った預金準備率の引き下げを通じて短期および中長期の流動性を提供し、 銀行システムの流動性を合理的かつ潤沢な水準に維持。金融市場は予定通り再開された後も、安定的に運営されている。また、新型コロナ対策専用の再貸枠3000億元を設定するとともに、再貸付・再割引枠5000億元を追加するなど、感染拡大防止と操業・生産再開を力強く支えた。感染拡大による影響を大きく受けた中小・零細企業や民営企業に対しては、融資の返済期限を延長するなどして、安定したキャッシュフローを維持し、苦境を乗り切れるよう支援した。
中国人民銀行(中央銀行)の陳雨露副総裁はこうした金融支援について、「複数の政策を組み合わせたポリシーミックスによる著しい効果がみられるようになり、中国の金融システムの運営は概ね安定し、金融市場も安定が予想される。貸出も安定して高い伸びをみせており、国民経済は新型コロナウイルスによる打撃を耐え抜き、世界経済・金融の安定化に大きく寄与した」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月27日