国慶節(建国記念日、10月1日)連休最終日の8日、上海市の豫園はいつまでも人の流れが絶えることがなかった。その中には伝統衣装の「漢服」を着込んだカップルや数人のグループがいて、風景の中に溶け込み、観光客の注目の的になっていた。中国新聞網が伝えた。
シルバーがかった青色をした伝統的なスカートをはき、結い上げた髪に宋時代風の金の冠をのせ、上海に旅行に来た漢服愛好家の王陸◆(王へんに其)さんは、うちわの持ち手を「大白兎ミルクキャラメル」のイラストを描いた巾着袋に挿し込み、一緒に来た友達から中医薬ドリンク「梨膏露」を受け取っていた。「同袍(漢服愛好家はお互いのことをこう呼ぶ)たちが豫園は漢服を着て写真を撮るのにぴったりだというので、今回の長期連休に絶対来なくちゃと思って来ることにした」という。
400年以上の歴史をもつ「古参のネットの人気者」である豫園で、王さんは長い攻略法を説明してくれた。「まず大白兎専門店に行って買い物をして、喬家柵で伝統のスポンジケーキつきコーヒーを飲み、歩き疲れたら老舗レストランで本場の上海料理を食べる。食事が終わったら、ライトアップが始まるので、高いところに上り、ベストの撮影スポットを探し、天裕楼デパートをバックに、美しい漢服姿を撮影する……」。
伝統的な風情に商業主義の「トレンド感」が加わり、豫園は今や「国潮(中国伝統の要素を取り入れたおしゃれな国産品のトレンド)好きの青年」たちに人気の訪問先になった。今年の国慶節連休初日、上海で最も高い明・清時代風の建築物である天祐楼がリニューアルオープンした。
豫園百貨が入る天祐楼は、上海で最も高い明・清時代風の建築物で、地上6階、地下1階からなる。古式ゆかしい建物の中には、「国潮」ブランドが数多く集まる。「大白兎ミルクキャラメル」専門店には、10種類の味のミルクキャラメルが並ぶだけでなく、マグカップ、抱き枕、帆布バッグなどのグッズもある。ベーカリーの光明悠焙の店では、高品質の乳製品を使ったさまざまなパンやお菓子が売られている。店員の説明によると、ここでしか買えない豫園店限定商品もたくさんあるという。さらに、漢服専門店もあり、漢、宋、明の各時代の漢服が一通りあり、レトロなアクセサリーもそろっていて、愛好者たちはワンストップ式の「華麗なる変身」を体験できる。
「古参のネットの人気者」に「新しい国潮ブランド」が加わり、観光客の間で大人気だ。統計によると、豫園の最高瞬間来場者はのべ1万9500人に上り、前年同期の水準を保ったという。