先週金曜日の米日豪印の4カ国枠組み「クアッド」による初の首脳会談(テレビ会議形式)において、4カ国は資金・生産・流通能力を集め、インドのワクチンメーカーを通じ2022年内に新型コロナウイルスワクチンを10億回分以上生産し、東南アジア、太平洋諸国、インド洋諸国などに提供することで合意した。メディアはこれを「中国対抗」と解読している。AFP通信は14日、「中国の影響力が日増しに拡大する懸念から、バイデン米大統領はパートナーシップの強化を表明した」と伝えた。サリバン米国家安全保障問題担当大統領補佐官は、この計画は「大規模な共同の約束」であると述べ、また東南アジアの接種が優先されると表明した。
米国が大々的に伝えているが、このやり方は自己中心的な行動を裏付けている。「NYタイムズ」は、「バイデン氏は需要のある国に余ったワクチンを提供すべきという大きな圧力を受け行動に出たが、これは世界のワクチン不足の問題を別の手段で解消する。米国人も接種が必要で、ワクチン輸出により国内の政治的な反発を受けるリスクをこの計画で回避できる。バイデン氏は世界の健康を訴える人々から、ワクチンを溜め込んでいるという批判を受けている。バイデン氏は米国人優先を堅持しており、現在まで具体的な約束を拒否している」と伝えた。
「米国は他国とワクチンを共有しない」米NBCの13日の報道によると、政府当局者は他国とアストラゼネカ製ワクチンの在庫を共有する計画はないと表明した。EUやその他の国は、これらのワクチンを直ちに使用できると発表しているが、米国は同ワクチンに承認を出すさらなるデータを待っている。アストラゼネカ製のワクチンがなくても、米国はファイザー、モデルナ、ジョンソン・アンド・ジョンソンなどと十分なワクチン契約を結んでいる。一部の国際機関は、米国が世界のワクチン供給を独占し、限りある生産能力と原料を掌握していると批判した。情報によると、アストラゼネカもホワイトハウスにEUへのワクチン供給を検討するよう説得しているという。しかしホワイトハウスのサキ報道官は「我々は最大限の柔軟性を確保し、需要以上の供給を保証し、予備を確保しなければならない……(中略)……わが国では現在も毎日1400人が死亡している。この問題の解消に全力を注がなければならない」と述べた。
バイデン氏の就任後、欧州と米国は「蜜月期」を迎えている。しかし米国のワクチン溜め込みにより、ドイツの主流メディアはタブーを犯し、米政府を猛批判している。14日付独紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」は「米国ファースト2.0」と題した記事の中で、「米国はEUへのワクチン輸出を検討していないが、これはバイデン政権が提唱する国際協力なのだろうか。これはむしろワクチンの民族主義を連想させる」と論じた。13日付「ワシントン・ポスト」は「EUは米国の隣国であるメキシコやカナダを含む海外への数百万回分のワクチン輸出を許可したが、バイデン政権は隣国及びEUへのワクチン輸出を禁じた。欧州では日増しに不満が拡大している」と伝えた。
接種が遅れるなか、欧州各国で再び感染が拡大している。仏RFIによると、フランスは13日、過去24時間内に2万9759人の感染が確認され、174人が死亡したと発表した。フランスの現在の重症患者は4000人以上で、4000人を超えるのは昨年11月26日ぶり。首都ローマや金融センターのミラノを含むイタリアの過半数の地域では15日より、出張及び移動の規制が強化される。イタリア政府は先週金曜、間もなく訪れるイースターの連休中に、1年ぶりに全国的な封鎖を実施すると発表した。独ロベルト・コッホ研究所は、ドイツが感染拡大の第3波を迎えたと発表した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年3月15日