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japanese.china.org.cn |02. 04. 2021

〈中国総合都市発展指標2019〉から見た中国都市化の新局面

タグ: 都市発展
中国網日本語版  |  2021-04-02


 3.目標と課題

 以上の分析から、中国都市化の空間フレームワークは着実に形成され、大半の都市では農村人口への戸籍制限が緩和され、都市の人口収容力が大幅に向上した。「第11次5カ年計画」で示された都市化の促進、都市化空間フレームワークの形成、都市計画と都市建設の管理強化といった都市化の課題は基本的に達成した。中国の都市化は今後、新たな発展段階に入り、新たな目標と課題に直面するであろう。今後の重点は、都市・農村の二元体制を打破し、都市と農村の融合的な発展を促進し、中小都市の活力を高めることへと変化していくだろう。


 (1)都市・農村の二元体制打破

 戸籍や土地利用制度の違いに基づく都市・農村の二元体制が、貧富の格差拡大や地域の不均衡発展の主な原因となっている。中国の都市化率は60%を超え、都市と農村の関係は重要な変化が生じ、今後の政策の重心は都市・農村の二元体制の改革にある。


 まず、農村から都市への定住制限を全面的に撤回し、人々が定住先を自由に選択できるようにし、住民戸籍の自由な移動を実現させる。農村・都市部を問わず、都市に移り住む人々は皆市民の一員である。移住者は「新しい市民」として迎え、移住できない「農民工」をなくす。都市に移り住む新市民とその家族が自由に移動できるだけでなく、中間所得層に入る機会を得られるようにしなければならない。


 第二に、農村の土地管理制度を改革し、集団経営の建設用地が国有建設用地と同様の開発権利などを得て、農民が自分の土地から資産収入を得られるようにするべきである。


 第三に、公共サービス制度を改善し、人口の規模に応じた公共サービスの提供を進め、住民各々が同質の公共サービスを享受できるようにする。


 (2) 都市と農村の融合発展の推進

 日本では、急速な都市化の過程において、都市の「過密化」と農村の「過疎化」が共存する時期があった。現在、人口の半分以上が三大都市圏に集中している一方、農村部は高齢化と空洞化が進んでいる。また、国としては海外への食料依存度が極めて高い。これに対して、急速な都市化を経験している中国は、日本の教訓に学び、都市と農村の融合発展を推進し、都市の発展と農村の繁栄を共に図るべきである。


 そのためには、都市と農村の相互作用を促すことが重要である。都市は、資本、技術、人材を農村へ投下することを奨励し、農業開発の恩恵を受けると同時に、農村との人的交流を促進すべきである。農村は、規模経営をはかり、都市へ原材料や農産物を供給すると同時に、都市との産業の融合発展を促進することである。同時に、農村部の居住地の集約化をはかり、都市部の公共サービスの農村部への拡大を進め、都市部と農村部の公共サービスの均質化を求める。


 (3) 中小都市活力の向上


 現在中国では一部の中小都市が、人口減少、産業縮小、経済成長鈍化に苦しんでいる。しかし農村と大都市とをつなぐ県庁所在地を含む中小都市の存在が、健全な国土空間にとっては不可欠である。中小都市の発展は、大都市の一部機能の分散化に空間を提供すると同時に、農民の地方都市への就職・定住を誘導し、農村・農耕文化の保存にもつながる。したがって、中小都市の発展は今後の中国都市化の重要な課題の一つであり、中小都市における生活環境の改善、公共施設の建設、公共サービスの質の向上、産業力の高度化への政策支援を強化すべきである。


 (4)都市再生の推進

 改革開放以降、中国で都市化は進み、都市のアーバンエリアは急速に拡大している。急進的な「都市づくり」の中で、低品質の建物が大量に建設されたと同時に、建物の老朽化も進み、都市の再開発が急務となっている。日本には、都市の再開発を手がける「都市再生機構」(UR機構)がある。中国では国土空間計画制度が確立され、都市開発の境界線が厳密に定められることで、都市発展の重心は規模の拡大から再開発へと移行している。都市再開発は、既存の都市を美しくし魅力を高め、住民の生活環境を改善するものである。そのため、スマート・シティ、ヒューマニスティック・シティ、ヘルスケア・シティなどの新しい目標を掲げ、より良い生活を求める都市住民のニーズに応えるよう努力していかなければならない。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年4月2日


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