ここ数年の間、中国は消費規模が拡大を続け、消費構造も高度化を続けた。2020年の社会消費財小売売上高は39兆2千億元(1元は約16.6円)に上り、最終消費支出が国内総生産(GDP)に占める割合が54.3%に達し、中国は世界2位の消費市場の地位を保った。特にインターネットショッピングやライブコマースといった新モデルが急速に発展し、ライブコマースが2400万回以上行なわれ、実物商品のネット売上高が流れに逆らって14.8%の成長を達成し、宅配業務量も前年同期比31.2%増加するなどして、中国は8年連続で世界一のネット小売市場になった。新型コロナウイルス感染症の深刻な打撃の中で、中国の消費回復状況が力強く、中国市場の強い強靱性と発展のポテンシャルを示している。人民日報海外版が伝えた。
消費の中心としての中所得層は、経済社会における中堅パワーだ。現在、中国には4億人を超える中所得層がおり、総人口の約30%を占める。先進国では、個人所得の分布は通常「オリーブ型」になり、上と下が小さく、中間が大きく膨らみ、中所得層が60-70%を占めるている。このような所得分布の構造は相対的に健全であり、経済社会の発展にプラスとみられている。一方、中国は中所得層の割合の上昇では、まだ大きな発展の余地がある。
商務部(省)の銭克明副部長はさきに、「14億人の人口を擁する中国には極めて大規模な市場が備わり、そして巨大な成長のポテンシャルも備わる。これからの15年間で、中国の中所得層は8億人に達する見込みで、消費高度化の原動力は力強く、消費の見通しは非常に明るい」と述べた。
中所得層になるポテンシャルが最も高いのはどのような人たちか。大学と職業大学の卒業生、技能労働者、出稼ぎ労働者が、第14次五カ年計画が重点的に強調する層だ。専門家は、「こうした人々を中所得層にすることには、可能性があり、現実的な必要性もある」と述べた。
大学と職業大学の卒業生は数が多く、学歴も技術レベルも高く、中所得層になる可能性を秘めている。中国労働学会の蘇海南特約研究員は取材に、「この層は自身の学歴と教養レベルに応じて、大半の人は単純な作業を繰り返す労働や基本的に技術のウェイトのない仕事には就かないため、中所得層になる現実的な可能性がある」と述べた。
人的資源・社会保障部(省)が発表した最新のデータでは、中国の技能労働者はすでに2億人を超え、雇用総数に占める割合は数年前の20%から26%に上昇し、このうちハイレベル技能労働者は5千万人を超えた。ここ数年、技能労働者は市場で供給が需要に追いつかず、その所得は上昇を続ける一方だ。同部は最近、「技能人材所得分配の手引き」を通達し、企業が技能人材に対し、特にハイレベルの技能リーダーに対し、年俸制、協議型賃金制、専門奨励金を実施するとともに、中長期にわたる奨励措置を検討し実施するよう後押しした。
蘇氏は、「出稼ぎ労働者は中国の膨大な産業人口の主な構成要素だ。その中には高い学歴や技能を備えた人も多く、複雑な労働や革新的な労働に従事することができる。20年の出稼ぎ労働者は2億8千万人で、このうち省外への出稼ぎ者が1億7千万人に迫り、労働者の1ヶ月の平均賃金水準は4072元だ。世帯単位で計算すると、その多くがすでに中所得層の入り口に近づいている。出稼ぎ労働者のかなりの部分が中所得層になることは、都市・農村の所得格差縮小、産業を支える中心層の技術・教養レベルの向上、農村振興の加速などにとって、いずれも必要性と現実的な実行可能性がある」と述べた。
今後、こうした重点層の所得水準の向上に伴って、中国の中所得層はさらに拡大し、個人所得の構造をけん引して「オリーブ型」の所得分配構造へと発展させることになる。その頃には、中国の消費市場の活力がさらにかき立てられ、世界にもより多くのメリットをもたらすことになるだろう。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年4月23日