銀行カードと紐付けしなくても、タッチするだけで決済でき、ネットに接続しなくても便利に使用できる。資金がリアルタイムで振り込まれ、待機する必要がなく、手数料もかからない。匿名で安全に取引でき、消費者のプライバシーが保護される。このようなデジタル人民元が、私たちの生活に徐々に近づいている。専門家は、デジタル経済時代の新たな決済方法であるデジタル人民元は、大きな潜在力を秘めていると述べた。
試行都市では多くの銀行が関連事業に参加している。これに伴いデジタル人民元はすでに飲食サービス、生活費支払い、ショッピング、交通などの各使用シーンを網羅している。さらに携帯電話によるコードスキャンやタッチによる決済、携帯電話を離れた可視化されたカードによる「ハードお財布」、現金との双方向の両替といった決済方法が生まれている。専門家は、デジタル人民元は将来的にECやショート動画などのオンライン分野に浸透し、かつ企業の取引やサプライチェーン・ファイナンスなどの実体経済分野で大活躍すると予想している。
北京師範大学政府管理研究院の宋向清副院長は、「デジタルマネーが主流になるにはまだ一定の時間が必要だ。これは主に、デジタル人民元の関連施設及び基本的な法律や規範などのさらなる計画・設計・論証・建設・検証が必要だからだ。将来的な大規模実用化は、関連生態の構築と改善を促す。デジタル人民元は金融システム安定、消費者の新型通貨の体験と信頼、さらには産業発展及び経済情勢に関わる。慎重に方針を定め、着実に取り掛かるべきだ」と述べた。
デジタルマネーが主流になるにつれ、紙幣や電子決済の代わりになるのだろうか。中国人民銀行デジタルマネー研究所の穆長春所長は「デジタル人民元の発行は行政が強制するのではなく、市場化の手段で行われる。近い将来、紙幣、電子決済、デジタル人民元が同時に共存することになる」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月1日