真夏日に金色の稲の香りが漂う。華南農業大学教学科研基地の広々とした田で9日、月探査機「嫦娥5号」に乗り月を旅した「宇宙稲」が収穫を迎えた。
計40グラムの稲の種が8か月前、嫦娥5号と共に23日の月周回旅行を行った。宇宙放射線の照射を浴び、地球に無事帰還してから広東省に居を定めた。数カ月の育種、定植、播種などのプロセスを踏まえ、宇宙稲が華南農業大学教学科研基地で、金色のずしりと重く垂れる稲穂に成長した。華南農業大学国家植物宇宙育種工程技術研究センターの科学研究者と職員が、成熟した稲のサンプル採取と収穫を行った。1回目の栽培が順調に完了した。
この先の秋には、これらの宇宙稲の子孫の実験室内での育苗が始まり、田に定植される。今後数年で広東省の土地で引き続き繁殖を続け、純化により優れた性状を備える。100%中国オリジナルの稲の品種になる見通しだ。
専門家によると、宇宙船に搭載された宇宙稲には極めて高い科学研究の価値がある。地球上の一般的な種子を深宇宙環境で処理してから地上で選択し試験栽培することで、高生産量・高品質の農作物の新品種を育成・形成できる可能性がある。中国は80年代以降、食糧、経済作物、野菜など数百種の宇宙品種を育成している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年7月13日