米国のサプライチェーンの混乱が深刻化している。感染症による港湾の過負荷やトラック運転手の不足などがこの状況をさらに悪化させている。これには米政府の経済政策及び対策による不確実性により、サプライチェーン問題が短期間内に解消されないという深い原因がある。
米国1・2位のコンテナ港のロサンゼルス港とロングビーチ港の外では、27日も数十隻のコンテナ船などが入港・積卸を待っていた。待機時間が最も長い船はすでに38日も待っていた。港湾内の状況は少しも楽観できない。1基のコンテナが港湾の貨物置き場で輸送を待つ時間を待機時間と呼ぶが、ロサンゼルス港の待機時間は現在、過去最長を記録している。陸路の輸送の待機時間は6日以上、鉄道輸送は12日弱で、空のコンテナを積んだトラックの貨物置き場での待機時間は8.5日となっている。港湾の貨物置き場が過負荷になっており、大量のコンテナではち切れんばかりだ。
貨物置き場の不足のほか、トラック運転手の数も少ない。全米トラック協会の最新データによると、全国ではトラック運転手が8万人不足し、過去最大を記録した。またトラック用部品やタイヤなどの不足も物流会社を悩ませている。これらの物資の不足はサプライチェーンの遅れの結果だ。
トランプ前大統領による貿易戦争は、コロナ禍のサプライチェーン問題の裏側にある原因の一つと分析されている。米国の物流専門メディアは、現在最も根本的な原因となっているのは、輸送される商品がこれまで以上に多く、システムの初期設定能力を上回っていることだと指摘した。米国の主なコンテナ港であるロサンゼルス港は今年、取扱量が前年比17%増、過去最大の1080万TEUにのぼる見通しだ。
米「フォーブス」は、今回のサプライチェーン問題はトランプ氏が発動した貿易戦争に始まると指摘した。米国企業は追加関税を回避するため買いだめに走り、物流に第1波の圧力をもたらした。また新型コロナウイルスが世界の物流業の予測可能性と確実性を失わせた。昨年末の段階で米国のサプライチェーンにはすでに亀裂が生じていたが、米政府は党の争いに忙しく重視しなかった。今日になり全チェーンの各サイクルに問題が生じている。
消費者の需要の拡大よりも、企業による買いだめの需要がサプライチェーンにもたらす衝撃の方が大きいと分析されている。在庫不足の危機に直面していた企業にとっては、供給確保が喫緊の課題になっている。これはサプライチェーンの過負荷を引き起こしたより深い原因だ。
サプライチェーン問題を解消するためには、供給側と需要側を見直し、比較的安定したバランス点を見つける必要があると分析されている。しかしこれは新型コロナウイルスの感染再拡大などによって妨害される。さらに懸念されているのは、米国の経済政策が不安定なことで、特に米国は貿易政策により世界の産業チェーンを再構築しようと試み続けている。これにより、サプライチェーンの需給データが頻繁かつ長期的に異常な状態に置かれることになる。この状況下、米国のサプライチェーンの異常な負荷が新常態(ニューノーマル)になる恐れがある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年11月1日